コレクターズアイテムとして高い人気を持つブリキのおもちゃ。 |
ブリキとは薄い鉄板をスズでメッキしたものです。 |
日本でブリキのおもちゃが登場したのは、明治のこと。初めは外国の模倣が多かったのですが、次第に日本独自の優れたおもちゃが開発されます。 |
壱のツボ 多様な動きは、一つの動力から
ブリキのおもちゃを40年にわたって研究している熊谷信夫さん。その動きのだいご味を、こう語ります。 熊谷 「ブリキのおもちゃの魅力の一つに『思いがけない動き』というのがございます。ブリキのおもちゃというのは、ゼンマイなり電池のモーターなりの回転運動なんですけども、それからいろんな動きをさせています。そのたった一つの回転運動から、いろんな動きをさせるというのが職人さんの技だったと思います。」 |
こちらは大正時代に作られたおもちゃです。 ブリキのおもちゃ鑑賞、一つ目のツボ |
昭和30年代、数多くのヒット作を開発、世に送り出した串田恭男さん。優れた仕掛けをどうやって生み出したのでしょうか? 串田 「特にその当時はですね、ドイツのメカがすごく、世界の最高水準を行ってたわけでね。それを数千点、まあ万に近い作品をですね、私が分析して、そして頭にインプットしました。ま、それが私の元になっておりますね。」 |
例えば車のおもちゃには、サイレンが鳴る仕掛けがあります。 |
昔からあるこの仕掛けを応用し、串田さんは見事な鶏の鳴き声を作りました。 |
切れ込みのある円盤の回転で歯車に当たる金属片を上下させ、鶏の声を作ったのでした。 |
組み合わせが巧みな例もあります。昔からある吹上パイプのおもちゃを、車と組み合わせ、ボールを宙に浮かせながら走る車のおもちゃが考え出されました。 |
弐のツボ 100分の1ミリの手技が生む曲線の味わい
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戦後の日本のブリキのおもちゃは、主にアメリカ向けに作られました。特にデザインと並んで海外からの評価が高かったのが、精巧な作りでした。そして、それを支えたのは、こだわりの職人たちの精密な技術だったのです。 ブリキのオモチャ二つ目のツボは、 |
かつての職人たちが挑んだ、おもちゃ作りの難しさとは、どのようなものだったのでしょうか。 |
その形を作り出すのは、上下一対の金型。驚くことに、上型は下型よりも、ブリキの厚さ分の、わずか0.3ミリだけ大きく作らなければならないのです。 |
しかも金型作りは、昭和30年代まで手作業で行われていました。 |
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当時の金型工、佐藤公司さんは、こう語ります。 佐藤 「光に照らしてみるとね、でこぼこが出てくんですね。曲がりとか、角張った筋が出てくる。それを無しにしろって言われても、なかなか思うようになくなんないんですよ。さんざんそれで泣かされましたよ。」 |
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苦心の末に生まれた名品です。実際よりも太く誇張された、丸い胴体。流れるようなムラの無い美しい曲線です。 |
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世界一のコレクションを誇る北原照久さんは、極めつきの車のおもちゃがあると言います。 北原 「1950年代に作られた、このマルサンのキャデラックという車。これは何と言ってもね、曲線の美しさですね。これは、日本人のプレスの技術の高さを証明する、本当の逸品だと思います。」 |
マルサン社製キャデラック。 |
参のツボ ブリキのキャンバスに描かれた 日本の美
日本の伝統美術に精通する、山下裕二さん。 |
明治大正期の作品に見られるもう一つの特徴は、金色が多用されていることです。「金彩」と呼ばれるこれらの作品の色使いの由来を、山下先生はこう考えています。 山下 「一言で言って、まき絵でしょうね。作った人の目の記憶として、まき絵を見たという体験があって、思わずそういうのがにじみ出ちゃう結果なんでしょうね。」 |
昭和30年代前半、日本の職人がアメリカ向けにデザインしたものにも、山下さんは、日本的な特色を見出しました。 山下 「目玉の描き方が、もろに浮世絵の役者絵じゃないですか。この黒目が左右にちょっとずれているのなんか、浮世絵だよ。」 |
山下 「顔はくま取りしているじゃないですか。歌舞伎のくま取りですよね。 |
ポップカルチャー全盛期のアメリカも驚嘆した、日本のブリキのおもちゃ。 |
「ブリキ」とはスズをめっきした鋼板のこと。ブリキ板だけだととても無機質で冷たい印象を持ちますが、職人の手にかかり「おもちゃ」になると、一変して温かみのあるものになります。私はブリキのおもちゃで遊んでいた世代ではありませんが、番組の中に登場するたくさんのおもちゃを見ていたら、何だかとても懐かしい気持ちになりました。彩色が鮮やかすぎず、模様などに手書きで描いた感じが残っているからでしょうか?残念なことにこれらのおもちゃはもうほとんどが作られていないとのこと。収集家の間では高値で取引されるものになっているのだそうです。気軽に遊べる「ブリキのおもちゃ」を復刻して欲しいなあと思っています。
楽曲名 | アーティスト名 |
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Swing 42 | キヨシ小林 |
Sesame street theme | The Silent Jazz Trio |
I'll remember April | We Three Jazz |
Bienvenuidos al Mundo | 小曽根真 |
In the mood | Glenn Miller Orchestra |
Let's dance | Benny Goodman |
La dolce vita | Andrea Pagani |
Bluesette | The Fascinations |
Moonlight Serenade | Glenn Miller Orchestra |
Fuiste tu | Charlie Haden |
Chotto matte kudasai | キヨシ小林 |
Holy land | Cyrus Chesnut Trio |
Blues | Fabrizio Bosso |
Try to change | Antonio Faraò |
Smile | キヨシ小林 |