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まずは「作り方」から。
加賀百万石のおひざもと、金沢。
江戸時代から秘伝の技が受け継がれ、日本の金箔のほとんどが生産されています。 |
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金箔作りで、最も大切なのは、いかに薄くするかということ。
金は貴重な金属なので、可能な限り薄く延ばして使われてきたのです。 |
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山根勉さんは、数少ない箔打ち職人。
和紙に挟んだ金箔を何万回も打って延ばしていきます。 |
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山根「金箔は薄くしすぎると穴が開いたり破れたりして使い物になりません。きれいに仕上がるギリギリの薄さが1万分の1ミリになります」 |
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金箔が美しく形を保つことができる、限界の薄さ。
これ以上薄くすると、崩れてしまいます。
金箔鑑賞、最初のツボは
「1万分の1ミリ! 究極の薄さ」 |
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一口に金箔といってもその種類はさまざま。
よく作られる金箔だけでも7種類あります。
どれも色に微妙な違いが…。
こうした金箔はどのように作られるのでしょうか? |
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原料は、金に銀と銅をわずかに加えた合金。
金は柔らかく延びやすい性質があり、薄い箔にするのに適した金属です。
最初に機械を使って、薄い板を作ります。 |
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1キログラムの原料から、幅10センチ、長さ10メートルもの板ができます。 |
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この板を小さく切り、和紙に挟んで重ねていきます。 |
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1分間に打つ回数は、700回。
金は10円玉より小さな板が畳一畳分にもなります。 |
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完成までにおよそ5万回打ちます。
どこまで打つかは指先の感覚で決めるといいます。 |
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山根「金箔を打つときのポイントは中心から外に均等に延ばしていくのが大切です。箔は打ちあがると竹ばしでつまんで箔を透かして見て、向こうが透けて見えたら完成となります」
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千分の1ミリまで延ばしたもの。
まだ透けて見えません。 |
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こちらは、完成品。
光にかざすと、ご覧のとおり・・・
日本が世界に誇る技術です。 |
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金箔作りには隠れた主役がいます。
箔打紙(はくうちがみ)と呼ばれる、金箔を挟む和紙。
箔打紙を作るにも特別な技術が必要です。 |
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柿渋と卵白を混ぜたワラの灰汁(あく)。
せっけんに似た成分を持つため、この液体に紙を浸すと、表面が滑らかになるのです。 |
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紙をたたいては、液体に浸すという作業を繰り返します。 |
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完成した箔打紙の表面には、凹凸がまったくありません。
この紙に挟まれているからこそ、金箔は傷つくことなく、延びていくのです。 |
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触れると崩れてしまうほど繊細な金箔。
扱うには竹でできた道具を使います。
静電気に影響されることがない竹は、金箔と相性が良いのです。
極限にまで延ばされた金箔。
それ自体がひとつの芸術品です。 |