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京都で会社経営する馬場利一さん。
水石に魅せられて50年という筋金入りの愛石家です。 |
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およそ200点もの水石が並ぶ部屋。
実はここ、元々会社の会議室。
趣味が高じて、展示室にしてしまったのです。
飾られている石のほとんどが京都の川で採れたものです。 |
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中でも、自慢なのがこちらの品々。
馬場「97年、京都御所に天皇皇后両陛下が2日間お泊まりになった。会見の場所と寝室とに飾らせていただいた石です。
これは茅舎(ぼうしゃ)のような格好ですが、美智子妃殿下がお手に取られて、よく自然にこんなものができますねとたいへん喜んでいただきました。
50年あまり石をやってきて、両陛下からこんな石を見てもらったということは、一生の宝ですよ」 |
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そんな馬場さんのお気に入りがこちら。
山の風景を連想させる『遠山石(とおやまいし)』と呼ばれる形のもの。
水石を深く知る上で、とても重要だと言います。 |
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馬場「何と言っても基本は遠山石。『遠山に始まり、遠山に終わる』といわれます」
山の景色を表す遠山石は、見立てやすく、いわば水石の入門編。
それでいながら、知れば知るほど、奥が深い石なのです。
水石鑑賞、最初のツボは、
「遠山に始まり、遠山に終わる」 |
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遠山と言って、私たち日本人が真っ先に思い浮かべるのは富士山。
遠山石の基本は、富士山のような形だといいます。 |
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その鑑賞法を日本水石協会の松浦有成さんに教えてもらいましょう。 |
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松浦「三面の法というのがあります・・・」 |
日本水石協会 蔵 |
良い石を見極める際に重要なのは、バランス。
360度、どこから見ても均整のとれた美しさが求められます。 |
日本水石協会 蔵 |
遠山石には、中国の絶景をイメージさせるものもあります。 |
日本水石協会 蔵 |
一方こちらは調和がとれた二つの峰を頂く、遠山石。 |
日本水石協会 蔵 |
また険しい峰が連なり、連山となっているものなど、さまざまな山の姿があります。
すべて自然が作りだした造形。
人の手は一切加わっていません。
先ほどの馬場さん。遠山に人生を学んできたと言います。
馬場「自分は我を通してこうあって欲しい、あああって欲しいと要求しても無理でしょ、石は。自然のままで、あるがままがいいと、これは石に学んできたことです」 |
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見る人の心によって、石は雄大な山を頂く大自然に姿を変えます。
水石は「遠山に始まり、遠山に終わる」といわれるゆえんはまさにここにあるのです。 |