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国の登録有形文化財になっている京都の銭湯です。 |
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脱衣場に足を踏み入れると、壁一面に散りばめられた装飾の数々。
ケヤキの一枚板を贅沢(ぜいたく)に使った透かし彫りの欄間(らんま)。
葵祭りの行列が生き生きと描かれています。 |
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天井を見上げると、そこには色鮮やかな彫刻。
鞍馬山の天狗と牛若丸です。 |
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浴室に続く通路は、一変して洋風な空間に。 |
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スペイン風の色彩豊かなタイルで華やかに飾られています。 |
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京都にある近代建築を調査している石川祐一さんです。
石川「町屋とか住宅とか住まいの空間、日常的な空間とは違って、銭湯は非日常な空間で体を癒しに来る遊びにくる空間だと思うんですね。中に入った瞬間にワンダーランドに入ったような印象を感じるといえる」 |
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手焼きで作られたタイルそのものが、今では貴重な文化財。
こうした装飾のひとつひとつは、訪れる人を癒しの空間へといざないます。
銭湯鑑賞、三つ目のツボは、
「ワンダーランドの仕掛けを楽しむ」 |
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70年の歴史をもつ大阪の銭湯。屋根にはなんと2体の自由の女神が。 |
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なぜ、銭湯に自由の女神が飾られているのでしょうか?
じつはこれ、「入浴とニューヨーク」をかけたしゃれです。 |
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脱衣場の天井は、白くに塗り上げられ中央には豪華なシャンデリア。
昭和30年ごろまで、2階はダンスホールやビヤホールとしても使われていました。 |
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銭湯経営者の中島弘さんです。
中島「おそらく下町ですから一般庶民の方と縁のない材料を使うことによって、少しゴージャスな気分に味わっていただきたいという風な思いがあったのかもしれません」 |
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浴室には高級感あふれる御影石が敷き詰められています。
ここで風呂に入れば、至福のひと時が味わえます。 |
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東京の銭湯も負けてはいません。昭和13年に建てられたこの銭湯には、他にはない見どころがあります。 |
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脱衣場のすぐ前には、みごとな日本庭園が広がっています。
庭師だった先々代の主人が作ったものです。 |
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四季折々の木や花が植えられています。
池には、色とりどりの錦鯉(にしきごい)が悠然と泳ぎます。 |
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銭湯経営者の松本康一さんです。
松本「極楽浄土って行ったことないからどういう世界かわからないですけど、げた一つで突っかけ一つで来られる距離で、広い湯船で手足伸ばして庭でも眺めて、しかも低料金で楽しんでいただける。それこそまさに極楽浄土じゃないかと思うんです」 |
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湯につかり夢見心地で庭を眺めれば、湯気の向うに浮かびあがるのは極楽の世界。
贅が尽くされた銭湯は、日々の生活に癒しを求める日本人ならではの特別な場所なのです。 |