|
古来より、にわとりの鳴き声は、神聖なものとされてきました。
「古事記」には、天照大御神が天の岩屋戸(いわやと)にこもって闇夜が続いたとき、神々が太陽の復活を願って鳴かせたのが、常世(とこよ)の長鳴鳥だったと記されています。 |
|
現在でも、長い時間鳴く品種が、大切に育てられています。
おもに四国地方で愛好されてきた「東天紅(とうてんこう)」です。
日本人はにわとりの長鳴きに魅了されてきました。 |
|
神奈川県川崎市の愛鶏家、一寸木誠一さんが飼っているのは「声良(こえよし)」という長鳴き鶏です。
一寸木さんは、「鳴き台」の上で、鳴くように訓練しています。 |
|
「声良」は、青森や秋田など東北地方で生みだされたにわとり。
その鳴き声は…。 |
|
くちばしを閉じて、うなるように胸底から絞り出す声は、にわとりの中で最も低いといわれています。
一寸木「世界でもまれな声だと聞くので、もともと好きな鳴き声になお、ほれちゃうんです。
ただ、棒鳴きみたいな鳴き方ではだめですね。」
長鳴きの聞きどころは、その抑揚。
「出し」から、「張り」、そして、最後の「引き」の調子を愉(たの)しみます。
鶏鑑賞、最後のツボ、
「長鳴きの味わいは節回しにあり」 |
|
新潟地方で生みだされた長鳴き鶏「唐丸(とうまる)」。
その朗々とした鳴きっぷりは、屈指といわれます。
さあ、どんな長鳴きなのでしょうか |
|
「唐丸」は、「すくみ箱」と呼ばれる箱の中に入れられ、運ばれてきました。
出したとき、夜明けが来たと思わせるためです。 |
|
去年、「唐丸」の「鳴合わせ会」で優勝した吉橋菊治さん。 |
|
仲間でライバルの吉野則明さんと共に、「鳴合わせ」を披露していただきました。 |
|
雄の長鳴き鳥は、お互いに「鳴き」を競い合う習性があります。
鳴き台の上に乗せると、まず右側の「唐丸」が…、
「唐丸」の長鳴きは、どのように愉しむのでしょうか?
吉橋「飼っている人の楽しみは、『ろの字鳴き』でしょうね。ヒューっと鳴いて、いったん落ちて裏返した声がろの字に丸くなって、グーと伸ばす。それが『ろの字鳴き』と呼ばれるんです。」 |
|
「ろの字鳴き」とは、ひらがなの「ろ」の字を横にしたような鳴き方です。
謡い出してすぐに下げ(分け)、
徐々に上げて〜力強く張り〜、
緩めながら落し〜静かに結ぶ。
それを理想としています。 |
|
唐丸の鳴声が何度も響きます。
長鳴きの節回し、何ともいえない心地よさを感じませんか? |