| 文京区にある鳩山会館はかつて総理大臣を務めた鳩山一郎の邸宅跡で、関東大震災の翌年の大正13年に建てられました。
リビングや書斎などあちこちにステンドグラスがはめ込まれています。 |
 |
中でも目をひくのが階段の踊り場にある高さ3.6メートルほどのステンドグラス。鳩(はと)と法隆寺をモチーフにしたという五重塔が描かれています。
このステンドグラスは日本人作家によって作られました。
|
 |
作者の小川三知(1867〜1928)は、アメリカで技法を学び日本のステンドグラス作家の草分けとなりました。
彼はもともと日本画家を志していました。
2008年は ちょうど彼の没後80年となります。 |
 |
小川三知のステンドグラスのデザイン帳です。
三知は欧米のスタイルの模倣ではなく、日本の風土や暮らしにあったステンドグラスを模索しました。
そのヒントとなったのが日本画の繊細な線だったのです。 |
 |
「三知にとって鉛の線は日本画の筆と同じようなもの。作品になる前、鉛の線は非常に柔らかいのですが、これを筆を使うように自由自在に使って自分の作品を作った」
と日本のステンドグラス史研究家の田辺千代さんは言います。
そこで、和のステンドグラス鑑賞、2つ目の壺は
「金属が描く日本画の線」 |
 |
戦前から続く老舗の工房を引き継ぐ、ス テンドグラス職人の松本健治さんです。
特別に同じ図柄の作品を2種類の方法で 組んでいただき、鉛線の使い方によって 作品がいかに変わるか、検証していただ きました。 |
 |
まず、こちらは幅6ミリの鉛線のみで組んだものです。
西洋の教会なども、使用される鉛線は主に1種類だそうです。
下の写真と比べてください。 |
 |
こちらには4種類の鉛線が使われています。
中央のおしべが3ミリ、花びらが4ミリ、葉が6ミリ、周囲が11ミリ。西洋の教会の場合、ステンドグラスは遠くから鑑賞されます。
しかし日本の場合は目の位置で見られることが多いので、こうした繊細な鉛線使いが大切なのです。 |
 |
ステンドグラス作家小川三知の晩年の傑作です。
梅の古木の幹の力強さと花をつけた細い枝が鉛線によってみごとに描きわけられています。 |
 |
こちらは竹をあしらったデザインです。ガラスをつなぐ鉛の線は墨で描いたようなすっきりとした印象です。 |