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それは錺(かざり)。
神輿をきらびやかに飾る装飾です。 |
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斗組みの周りを彩るのはインドに起源を持つ装飾品、瓔珞(ようらく)。
代表的な錺です。
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そしてもう一つ、錺の王様をご紹介しましょう。
これは、昭和7年に製作され、戦争の被害を奇跡的に免れた日本橋・小舟町(こぶなちょう)、八雲(やぐも)神社の神輿です。
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森田「いい顔してますね」
長年神輿の写真を取りつづけてきた森田裕三さん。
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レンズが狙ったのは、屋根の上で大きく羽を広げた鳳凰です。
森田「そうですね、こうやって見上げた時に鳳凰の生命感ですね。うん。やっぱり鳳凰が、こうやって威勢のいい鳳凰がついていますと、やはりお神輿全体が映えます。ですから周りから見ている方でも、これは立派なお神輿だというひとつの目標にもなりますね。」
神輿鑑賞弐の壺
「飛びたつ鳳凰に生命(いのち)を感じよ」
鳳凰とは、古来中国で尊ばれてきた伝説上の鳥です。
鳳凰が飛ぶと、乱れた世を救う聖人が現れる。
そうした言い伝えから、いつしか神輿につけられるようになりました。
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その鳳凰を、金物細工でどのように作り上げるのでしょうか?
錺職人、宍戸哲三さんの仕事場です。
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錺のほとんどは、真鍮(しんちゅう)の板を加工して作ります。
鳳凰の翼に、鏨(たがね)で文様を入れる作業。
しかしこれだけでは、生き生きとした姿は生まれません。
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そこで登場するのが、この床(とこ)と呼ばれる道具。
このくぼみにご注目! |
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くぼみを利用して、翼に微妙な丸みをあたえていきます。 |
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平たい板に、やわらかい膨らみを施しただけで、翼に躍動感が出てきたのがおわかりいただけるでしょうか? |
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宍戸「この胴体に対して羽を少し前にして、思いきってあげるとね、今にも飛び立つって言うかね、そういう感じに見えるんじゃないかと、そういうイメージで作っているわけ…。前にこうぐうっといくと…」 |
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今にも飛び立ちそうに見える八雲神社の鳳凰。
翼の大胆な曲線が生命力を感じさせます。
二枚の重ねた羽を別々の方向に伸ばすことで、より力強く見える工夫が凝らされています。 |
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鳳凰は、時代と共にさらに華やかになってきました。
東京、東神田町会の鈴木正道さんに見せていただいた鳳凰。
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それは、昭和の名神輿師、浅子周慶が考案しました。
胸を大きく前に突き出し、翼をそらせて広げた形が特徴です。
これは京都・宇治にある平等院の鳳凰を模したもの。
これまでには無い鳳凰をと作り上げた浅子周慶の自信作です。
どうですか、この圧倒的な生命感! |
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鈴木「せっかく作るものですから、やっぱり作るんだったらなんがしか、ちょっと差別したい、一つ頭がぬきんでたようなもの、そういう気持ちがあると思いますね。それは基本的には、江戸っ子の負けん気と言うところでしょうね。ですからこの大鳥はですね、普通大体昔のお神輿に比べるとずっと大きいですね、屋根幅ぐらい確か羽の幅がある。だんだん大きくなっていると思います。これも負けん気で。だんだんでかくすると、はい」
神輿に完成形はありません。
他の神輿に負けないよう、新たな工夫を凝らす・・・
一体この先どんな鳳凰が現れるのか、それは神様にも分かりません。 |