クリックで拡大表示 |
まずは畳表(たたみおもて)に注目です。
畳表とは、文字どおり畳の表面を覆うもの。
畳はどんな作りになっているのか、見てみましょう。
土台となるのは、稲わらを圧縮した畳床(たたみどこ)。
ここに畳表をかぶせます。
さらに縁を縫いつければ出来上がりです。
畳の美しさを決めるのは何と言ってもこの畳表。
「いぐさ」という植物を使った織物です。 |
クリックで拡大表示 |
織り方やいぐさの種類によって目の幅も変わります。
色の異なるいぐさを使って模様を織り出したものもあります。
|
|
東京で畳店を営む山田隆さん。
山田さんの家では、四代にわたって伝統的な畳作りの技術を守ってきました。
|
クリックで拡大表示 |
全国の産地から取り寄せた畳表。
その中で最も上質なものを見せていただきました。
広島県で織られた「備後表」です。
この畳表、どのような点が優れているのでしょうか。
|
クリックで拡大表示 |
山田「線がきれいで、すっきりした良さがあると思うんです。目が詰んでいて、遠くから見ると草の一本一本がわからないくらいの密度があります。凝縮していて、山谷がきれいですね」
|
クリックで拡大表示 |
いぐさを密に織ることで畳の目は盛り上がり、谷、つまり畳の線がくっきりと際立ちます。
畳鑑賞・最初の壺は、
「深くまっすぐな線こそ命」。
|
クリックで拡大表示 |
備後表の産地、広島県福山市。
高品質ないぐさを栽培しています。
世界各地の湿地に育ついぐさ。
日本では弥生時代から織物に利用され、世界に類を見ない規模で栽培されてきました。
収穫は7月上旬。
良いいぐさの条件は、長く、細く、色にむらがないことです。
備後のいぐさは、古くからこの条件を満たしてきました。
|
|
刈り取ったいぐさには、泥染めという加工が施されます。
同じ土地の土で泥水を作り、いぐさをさっと浸すのです。
いつ、誰が始めたとも知れない不思議な工程。
なぜ、このような作業が必要なのでしょうか。
|
クリックで拡大表示 |
泥染めをして乾燥させたいぐさは、銀色をおびた独特の色合いになります。
畳特有の香りもこの泥染めによって生まれるのです。
|
クリックで拡大表示 |
来山淳平さんは、手織りの畳表を作る今では数少ない職人のひとりです。
左右から2本のいぐさを織り込む「中継ぎ」という技法です。
|
クリックで拡大表示 |
縦糸は麻。
大変丈夫なため、いぐさを強く打ち込むことができます。
全身の力を込めて繊維のつまった畳表を織り上げます。
機械で織る一般のものと比べ、使ういぐさは倍以上です。
来山「糸が太いと山が高くなりますね。そういう方が良いと思います。山と谷がすーっとまっすぐにそろったら、なんぼかきれいだろうと自分でも思うんですが…」
|
クリックで拡大表示
|
来山さんが2日かけて織り上げた畳表です。
年に数十枚しか作ることのできない、最高級品。
陰影のあるまっすぐな線は、優れた材料と技術の証です。
|