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憧れの警察官に!“1日だけ「夢を着た」瞬間”

  • 2024年01月29日

    「私の将来の夢は警察官になることです。」
    三重県四日市市の中学校に通っていたブラジル人のアドルノ・ジゼレさんの子どもの頃の夢は祖父と同じ警察官。しかし、日本国籍ではないため、その夢は諦めるしかありませんでした。
    それでも警察官への憧れを持ち続けたジゼレさん。およそ10年のときを経て、1日だけ夢をかなえることができました。

    「夢を着たんです。」
    会場では涙を浮かべながらジゼレさんを見守る両親の姿がありました。

    (津放送局 伊藤憲哉)

    1日警察署長の大役を務める

    「アドルノ・ジゼレさんを1日警察署長に委嘱します。」
    三重県のいなべ警察署の1日署長を任されたのは、四日市市で育ち名古屋市に住むブラジル人のアドルノ・ジゼレさんです。
    この日、ジゼレさんはいなべ署管内にある東員町の商業施設で、110番通報の適切な利用を呼びかけました。

    「110番通報は事件事故などの緊急時に通報する専用の番号」
    「財布を落としたが110番通報するのは『×(バツ)』」
    ジゼレさんは、子どもたちにもわかりやすいよう、○×形式のクイズで110番の使い方を伝えました。

    アドルノ・ジゼレさん
    110番のかけ方やどういったときに使うか私も知らないこともたくさんあったので、皆さんに共有して、知ってもらえるように工夫しました。

    日本国籍ではないので、警察官になれず

    幼い頃のジゼレさん(左)と弟(右)

    ジゼレさんの父親はブラジル人、母親はインドネシア人。群馬県で生まれてすぐにブラジルに行き、4歳のころ日本に戻ってきました。
    小さい頃の夢は警察官。ブラジルで警察官をしていた祖父への憧れと人を助ける仕事がしたいという思いからでした。
    しかし、ブラジル国籍であり、日本国籍ではないために、日本で警察官になることはできないことを知りました。

    中学生のときに出場した弁論大会では、「私の将来の夢は警察官になることです。でも、私がどれだけ夢をみても、どれだけ勉強しても、日本で警察官になることはできません」と、複雑な心中を語っていました。

    ジゼレさんは当時を振り返って…。

    アドルノ・ジゼレさん
    こんなに日本が大好きで日本でずっと生きてきたのに何で警察官になれないとそんなことを言われないとだめなのかなと思った。

    夢だった警察官に!

    それでも警察官への憧れを持ち続けたジゼレさん。
    ある日、いなべ署の警察官から一本の電話がありました。

    アドルノ・ジゼレさん
    警察の人から電話がきて、私何か悪いことしたかなと最初思いました。でも1日警察署長をしてくれないかと言われて、日程は決まっていなかったけど、すぐに「やります」と言いました。本当にうれしかった。

    警察官になるという夢を1日だけかなえたジゼレさん。
    会場には、生き生きとした制服姿のジゼレさんを、涙を浮かべて見守る両親の姿もありました。

    父・ファビオさん(左)と母・モニカさん(中)

    父・ファビオさん
    とても感動しました。うれしくて涙しかでない。ジゼレが着た警察官の制服はただ制服を着たのではなくて、夢を着たんです。
    母・モニカさん
    とてもかっこよかったです。親としても感謝の気持ちで胸いっぱいです。1日でも夢を現実にできたので本当にうれしいです。

    アドルノ・ジゼレさん
    1日署長は、楽しかったし、制服は重いなと感じました。両親をはじめ、私が警察官になるという夢をかなえた瞬間を見てもらえたのが何よりもうれしかったです。

    外国人として日本で生活する中、さまざまな葛藤を抱えながらも乗り越えてきたジゼレさん。2023年には、外国ルーツの子どもたちの夢を応援する学習塾を名古屋市内でオープンさせました。
    警察官ではなくても「人を助ける仕事がしたい」という思いは実現させたのです。
    そして、1日警察署長の大役をこなし、こう話していました。

    アドルノ・ジゼレさん
    きょうの私の姿をみて、たくさんの人に外国人でも警察官になれることを伝えたいです。私はブラジルの国籍で警察官にならないという道を選びましたが、外国人でも日本の国籍を選んで警察官になることはできるので、諦めずに日本で警察官を目指している人がいれば努力していってほしいなと思います。

    そして、「もしオファーがあれば、また制服を着て、警察官になりたいです」と、意気込みを語っていました。

    長年の夢をかなえたジゼレさん。緊張しながらも「夢を着た」1日は、とても楽しそうでした。
    最後に「警察官の制服を脱ぎたくない。ずっと着ていたい」と目を輝かせながら言っていたのが印象的でした。

      • 伊藤憲哉

        津放送局 記者

        伊藤憲哉

        2019年入局。
        得意の英語・中国語を駆使し、サッカージュニアユース全国大会出場の健脚で、事件、地方行政から国際ニュースまで幅広く取材。

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