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どう進める?住宅の耐震化

  • 2024年04月09日

 

 

 

能登半島地震では多くの住宅が被災し、多くの人が住宅の倒壊によって亡くなったとされています。三重県でも南海トラフ地震が想定されていますが、住宅の被害を抑えることが命を守り、その後の生活を再建しやすくすることにつながると言えます。そこで重要なのが住宅の耐震化です。                            (津放送局 高洲康平)

死因の多くが家屋の倒壊

能登半島地震で、石川県内では能登地方を中心に3月1日時点で7万6000棟余りで住宅の被害が確認されました。3月26日の時点で244人の死亡が確認されていて、死因が公表されている人の多くが家屋の倒壊で亡くなっています。

耐震化は命守り生活再建にも

三重県県土整備部 中根大宇 建築審査監

能登半島地震のあと、建物の応急危険度判定士として、石川県で建物の被害状況について、調査を行った県の建築審査監の中根大宇さんは住宅の耐震化の重要性を訴えています。

中根さんは1月5日から3日間、羽咋市と中能登町で被災した建物の判定作業を行いました。能登半島地震で中能登町は震度6弱、羽咋市は震度5強と、震度6強を観測した輪島市や珠洲市と比べて、揺れは大きくありませんでした。

しかし、羽咋市と中能登町でもそれぞれ2000棟を超える住宅が被害を受けました。

大きな被害を受けた羽咋市の住宅

三重県県土整備部 中根大宇 建築審査監 

「地震の前に準備をしておけば、命を守ることはもちろん、被災後の生活再建もしやすくなるので、耐震化が重要です」

耐震化のための補助制度

住宅の耐震化を進めるには多額の費用がかかりますが、国や県、それに住んでいる市町村からの補助を受けることができます。

補助を受けて耐震改修工事を行うには、まずは耐震診断を受けなければなりません。昭和56年5月31日以前に建設され、3階以下の木造住宅であることなどの条件を満たせば、5万円程度の費用が無料になります。

耐震診断の結果、「倒壊する可能性が高い」または「倒壊する可能性がある」と診断された場合、耐震改修工事のための設計を行います。この際、最大18万円までの補助を受けることができます。
そして、耐震改修工事を行います。この際も、最大100万円までの補助を受けることができます。

まずは住んでいる自治体の担当の窓口に問い合わせてみてください。
 

耐震化とはどんな工事

では耐震改修工事ではどのような工事を行うのでしょうか?。

県内で住宅の耐震診断などを行っているNPO法人が耐震化を行ったモデルルームを取材しました。

松阪市の耐震化されたモデルルーム

松阪市にあるこのモデルルームは昭和49年に建てられた2階建ての木造住宅で、築50年です。このNPO法人がおよそ200万円の費用をかけて、耐震改修を行いました。

住宅の内部は耐震化のための工事の内容が分かりやすく紹介されています。
例えば、壁の内部には筋交いに加え、構造用合板と呼ばれる強度の高い板が使われ、耐震性が高められています。

また、木材と木材の接合部分には、金属製の部品を取り付けて、地震の揺れによる緩みやずれを防いでいます。

 

三重県木造住宅耐震促進協議会 櫻井哲男 会長

三重県木造住宅耐震促進協議会 櫻井哲男 会長
「耐震化をすれば避難できる時間を稼ぐことができ、建物に押しつぶされることによる圧死を防ぐこともできますので、非常に重要です。耐震改修の補助を受けるには、耐震診断を受けることが条件となっているので、まずは耐震診断を受けてほしい」

このNPO法人によりますと、地震のあと、耐震診断の申し込みが増えているということです。このモデルルームは一般の人にも月に1日程度公開されていて、予約をすれば見学することも可能です。詳しくは三重県木造住宅耐震促進協議会のホームページをご覧ください。
 

三重県内の住宅耐震化率は?

三重県内の住宅の耐震化はどこまで進んでいるのでしょうか?
住宅の耐震性があるかないかは、昭和56年に定められた耐震基準を満たしているかどうかで判断されます。

県内の自治体別の住宅の耐震化率から地域ごとの平均を算出すると、伊賀地域が85%余りと最も高く、次いで北勢地域が81%余り、中南勢地域と伊勢志摩地域がそれぞれ79%余りとなっていますが、東紀州地域だけが69%余りと、ほかの地域よりも低いのが目立ちます。

これはなぜなのか?東紀州地域は過疎化や高齢化などにより、人口減少が進む地域です。
一般的にこうした地域で、都市部に比べて耐震化率が低くなる傾向は、全国のほかの地域でも見られ、今回の能登半島地震で大きな被害が出た石川県の輪島市や珠洲市でも耐震化率は50%程度にとどまっていました。

人口減少により、住宅の需要が少なく、新たに住宅を建てたり、建て替えたりすることが少ないことが背景にあるとみられます。

東紀州地域は南海トラフ地震で大きな被害が出ると想定されている地域なだけに、いかに耐震化率を高めていくかが、今後の課題となります。
 

  • 高洲康平

    津放送局

    高洲康平

    2013年入局。岐阜局や広島局、政治部を経て津局に。 主に、三重県政を担当。週末は、子どもと自転車の練習に励んでいます。

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