2021年04月09日 (金)海女さんも 海水浴客も これを見たらすぐ逃げて!

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「皆さん!急いで逃げてください!!」

ライフセーバーが周囲の人に声をかけ、赤と白の格子模様の旗を左右に大きく振ります。

海にいる人に津波の危険を視覚的に知らせる「津波フラッグ」です。

去年、運用が始まりましたが、なかなか普及が進まないといいます。

いったいなぜでしょうか。

(津放送局記者 石塚和明)

“津波フラッグ”とは

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津波フラッグは、気象庁が視覚的に津波の警戒を呼びかける手段として定めている赤と白の格子模様の旗です。

大津波警報や津波警報、それに津波注意報が発表された場合、海岸でライフセイバーなどが振ったり、建物に掲示したりします。

海水浴場などで泳いでいるときに、この旗を見かけたら、すぐに海から離れて高い場所に避難する必要があります。

きっかけは東日本大震災も普及進まず

導入のきっかけは、東日本大震災でした。

津波の警戒を呼びかける音声が聞き取りにくい海岸付近で亡くなったとみられる人がいたほか、岩手、宮城、福島の3県では、聴覚に障害のある人の死亡率が障害のない人に比べて2倍高くなったのです。

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そこで気象庁は、去年6月から「津波フラッグ」の運用を始めました。

ただ普及は進んでいません。

気象庁がことし2月までに、海水浴場のある全国446の市町村を調査したところ、「導入している」と回答した市町村は63で、全体の14%にとどまりました。

新型コロナウイルスの影響で、自治体の担当者と打ち合わせができなかったことなどが影響しているといいます。

三重県内では海女さんも避難

三重県内ではどうでしょうか。

主要な海水浴場がある沿岸部の市や町に問い合わせてみました。

このうち熊野市では、市内にある2つの海水浴場に導入済みで、津市と鈴鹿市、志摩市ではことしから導入予定だといいます。

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しかし、それ以外の多くは「導入するか検討段階」という状態です。

導入を決めている中でユニークなのが志摩市です。

海女の数が全国で一番多い三重県ですが、志摩市でも海女の素もぐり漁が盛んです。

そこで、海水浴場だけでなく、漁場の近くにも導入することにしました。

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また県内では啓発に向けた取り組みも進められています。

去年8月、鳥羽市の海水浴場では、津波が来るという想定で避難訓練が行われ、その際に津波フラッグが活用されました。

フラッグは、海水浴場を管理する町内会と漁協が独自に購入して導入したといいます。

“導入難しい”自治体も…

一方で、導入が難しいと話す地域もあります。

例えば、県南部の尾鷲市では南海トラフ巨大地震が発生した場合、早ければ津波が5分ほどで到達するところもあります。

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市の担当者は「旗を振る人も危険ではないか」として、導入は現実的ではないとしています。

気象庁も、安全が確保されない場合は必ずしも旗を振ったり、掲示しなくてもよいとしていて、難しい問題です。

“まずは存在を知って”

音声の聞き取りにくい海岸で、どう警戒を呼びかけるか、地域の実情にあった対応が求められますが、まず進めなくてはいけないのが認知度をあげることです。

せっかく導入されても、何の意味があるのか伝わらなければ意味がありません。

そこで先月、気象庁と日本ライフセービング協会が共同で啓発動画を制作しました。

津波フラッグの役割や、導入された経緯などがわかりやすくまとまっていて、日本ライフセービング協会のYouTubeチャンネルなどで閲覧することができます。

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こうした動画なども活用し、津波から1人でも多くの命を守るため、津波フラッグの存在を家族や友人など、周りの人たちにもぜひ知らせてください。

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石塚和明(2016年入局 鳥取局を経て現職 好きな映画は「パルプ・フィクション」)

投稿者:NHK津放送局 | 投稿時間:18:00


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