2022年05月27日 (金)【みえDE川柳】 お題:若い

天 日記帳開いて若い僕に会う/ゆきちさん

丹川修先生 日記に書かれているのは若い日の初恋のことなのだろうか。或いはそこには夢や希望に満ちた将来への思いが書かれているのか。また、仕事での失敗の苦い思いが綴られているのであろうか。若き日の日記を通じ、なつかしい思いにひたっている作者。今に到り、若き日の思いに触れ、さらにこれからの人生にも希望や喜びを得られたことだろう。「若い僕に会う」の表現が素晴らしい。あのころはこんなことを考えていたのだと、回想できる日記帳の存在が羨ましい。

 

地 途中下車できる若さを持っている/水たまりさん

丹川修先生 「若い時にはいくらでもやり直しがきく、そして、興味のあることに思いきり挑戦ができる」このような事を詠んだ句は、他にもたくさんあったが、直接的な言い回しではなく、「途中下車できる若さ」と表現をしたところが、この句を成功に導いている。決められたレールから少し外れて途中下車できるのは、やはり若さの特権だろう。この作者は今なお、若さを保っている。

 

人 鏡見て若いと思うまで化粧/ばばりんさん

丹川修先生 思わず笑いが込み上げてくる。いじらしくもあり、楽しくもある句である。人間、誰しもいつまでも若くありたいし、若く見られたい。こうした気持ちがなくなると、本当に老けてしまう。鏡に向かって、自身が納得いくまでお化粧をして、今日はどちらへお出かけするのだろうか。化粧が上手くいくと、心までうきうきしてくる。「若いと思うまで」と素直に表現したところに、人間味が溢れている。

 

<入選>

若いわね本意を知らずありがとう/奥田よしさん

あんなやつ好きじゃないよと赤らめる/ゆうさん

好奇心にブレーキかけず若くいる/久実さん

大袈裟に驚き絞り出す若さ/福村まことさん

古稀米寿いま一番の若さあり/金子鋭一さん

二十年やっと家電が若返る/葵さん

若い日の話少しは自慢入れ/草かんむりさん

末席の若い意見が光り出す/富田さよ子さん

若く見える方を選んだ試着室/火の鳥さん

Tシャツで世間の波に立ち向かう/汐海 岬さん

 

丹川修先生 丹川修先生

 「若い」のお題だけに、たくさんの若さが溢れた句に接し、私自身も若い気分にさせられました。また、「若い」を直接詠み込まずに「若い」を巧く表現した句も多数あり、皆さまの工夫に感心させられました。反面、いつも気になることですが、標語的なものや「若い」の一般的な定義を引用(説明)した句も、複数見受けられました。川柳は「人間」を詠い、ニンゲンの歓び・哀しみを詠うと言うところを、心がけてください。
 たくさんのご投句をいただき、大変ありがとうございました。

投稿者:NHK津放送局 | 投稿時間:18:50


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