2022年03月25日 (金)【みえDE川柳】 お題:舞う

天 百才の笑顔でわかる舞い納め/小宮やすさん

丹川修先生 百才を迎え、もうここらで舞い納めにしようという満足感に満溢れた笑顔を見せている。それは誰の目にも人生を悔いなく生き抜いたという充実感に満ちた素晴らしい笑顔と映る。百才に至るまで、力強く舞い続けられた、ご長寿をお祝いしたい気もちになる。しかし、できる事ならさらに舞い続けていただきたいという気にもさせられる。中7が(笑顔でしめす)ではなく「笑顔でわかる」との客観的な表現が、多くの人達に囲まれ愛されてきたことを物語っている。

 

地 入社式花も野心も舞っている/汐海 岬さん

丹川修先生 桜の舞う素晴らしい季節である。新入社員が希望と大きな野心に胸膨らませて入社式に望んでいる。これから幾多の苦難が待ち受けていると思われるが「初心忘るべからず」をモットーに頑張って欲しい。はつらつとした明るい句。中7の「花も野心も」と「~も~も」の引用が、この句に心地よいリズムを与えている。

 

人 しつけ糸抜いたスーツが春を舞う/やんちゃんさん

丹川修先生 この春、新社会人として旅立つ人にエールを送りたくなる明るく希望に満ちた句である。句想としては、地の句とよく似ているが、「しつけ糸抜いた」の表現が、いかにも、初めて新調したスーツであることを巧く言い表している。又、そのスーツが「春を舞う」と上手く続けている。こうした言葉の選び方の巧みさを評価させて頂いた。間接的な表現が、際立っている。

 

<入選>

春風に乗った黄砂が舞い降りる/桑名の川子さん

水族館一糸乱れず舞うイワシ/奥田よしさん

ご祝儀の額に合わせて獅子が舞う/なるほどマンさん

舞うような殺陣に舞うよう斬られ役/スイッチさん

舞うようにひらりと妻の里帰り/ごん太さん

舞い降りた所でタンポポも生きる/かぐや姫さん

マジックを見る子らの目が舞っている/葵さん

堂々と舞って汗ふく初舞台/富田さよ子さん

桜舞う君の手のひら感嘆符/童心さん

朝市にスッピンで舞う土地言葉/福村まことさん

 

丹川修先生 丹川修先生

 「舞う」のお題に対し、「花、桜が舞う」、「雪、風花が舞う」「枯葉、落葉が舞う」「蝶が舞う」「舞い上がる」「舞い踊る」などの句が、多数ありました。そのほかにも色々な「舞う」があり、楽しく選をさせて戴きました。ただ、川柳の場合は俳句ほど季節感を問うことはありませんが、極端に、ずれていると多少なりとも違和感を覚えるのも事実です。また、先月のこの欄で、橋倉先生も述べられているような、いわゆる「動く」句が、目に付きました。かならずしも「舞う」でなくてもいいのではと思われる句やむしろ「舞う」以外の言葉の方がふさわしいと思われる句も見受けられました。気を付けたいものです。多数の投句をいただき、大変ありがとうございました。

投稿者:NHK津放送局 | 投稿時間:18:50


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