2014年06月27日 (金)【みえDE川柳】 お題：じめじめ
じめじめとしてるポストの中までも／久実さん
梅雨最中、じめじめ満載の句。「ポストの中までも」には、物理的なじめじめに、作者の心理的なじめじめ状態が投影されている。
もしかしたら、作者が出そうとしている手紙は、とても気の重い内容なのかも知れない。
「してる」が気になるが、リズムを考慮しての策だろう。さらりと書いて思いの深い作品である。
ナメクジがくつろぐ植木鉢の裏／アラレさん
なめくじが「くつろぐ」という措辞（言葉の使い方）に感心。じめじめという言葉を使わず（題を読み込まず）に、「じめじめ感」を上手に表現している。意外な着想は川柳を生かす力。この感覚を大事にしてほしい。
くつろげる場所、あなたにもありますか？と問われているような気もする。
紫陽花を発光させる梅雨の空／豊後ぶんごさん
あじさいは咲き始めの白っぽい青色から、徐々に色合いと濃さを変えていく。まさに七変化である。その変化を「発光させる」と表現したのは作者の感性。梅雨の季節だからこそあじさいのすてきな風情に出会えるのだ…と詠む、作者のプラス思考に共感する。
＜入選＞
紫陽花の色香に迷うカタツムリ／あさか舞さん
じめじめの畑でみみず恋をする／大和撫子さん
じめじめを相合傘がはね返す／しゅうさんさん
部屋干しでシャツも嫉妬も生乾き／颯爽さん
なにもかもうやむやのまま雨止まず／西口勝久さん
じめじめを日帰りの湯に捨てに行く／竹島晃さん
みなネアカうちに除湿機いりません／磯の香りさん
宮村典子先生
今月の課題「じめじめ」は作りにくかったかも…と心配していましたが、なかなかユニークな作品があり安心しました。
ただ「あじさい」「カタツムリ」「部屋干し」「除湿機」「ナメクジ」「じめじめ…」を使った同想句も多くありました。
そんな中、それぞれからの発想、気付きに意外性があり、心象句また、明るく楽しい気持ちをうまく表現した句が今月の入選10句です。観賞して、今後の作句の参考にしてくださいね。
投稿者:NHK津放送局 | 投稿時間:18:50
