あぁルームランプ消し忘れでバッテリー上がり...どう防ぐ?
忙しい朝。よしっ、出勤しようと車に乗ったけれど…。あれ?エンジンがかからない。もしかして…と思ったら、うわっ!ルームランプONにしっぱなし!!バッテリー上がってしまった!!
そんな経験ありませんか。なぜルームランプをつけっぱなしにしてしまうのか、そして対策はどうしたらいいのか。調べてみました。
(津放送局 杉野希都ディレクター)
“消し忘れでバッテリー上がり”を調べて!
NHK津放送局では、視聴者から寄せられた身近な疑問について津放送局の記者やディレクターたちが調査する「まるみえニュースポスト」を設けていますが、先日、車のルームランプに関する次のような投稿が寄せられました。
「車は何故ドアを閉めても、ルームランプがしばらく点灯したままなのでしょうか?
(これではAUTOとONの区別がつきません。)
ランプをONにしていたことに気づかず、バッテリーが上がってしまいました!」
「ルームランプのつけっぱなしによるバッテリー上がり」、車社会の三重県では決して珍しいことではありません。むしろ、周りに聞いてみると津放送局内のスタッフにも経験者が結構いることが分かりました…。そんな「ついやっちゃった!」人たちの声に押されて始まった今回の調査。まず、ルームランプの基本的な機能をおさらいしたいと思います。
ルームランプって、そもそもどうなってるの?
一般的に、運転席や車の天井などについているルームランプ。車種によって違いますが、多くの車のランプは、ON・AUTO・OFFの3段階に切り替えられるようになっています。
AUTOの場合、ドアを閉めた後30秒ほどで、ランプが自動で消えるようになっています。一方、ONにすると、ランプはずっと点きっぱなし。AUTOと勘違いして、長時間放置すると、バッテリーが上がってしまうというわけです。
最近の車では、ルームランプをONにしていても、車から鍵を持って離れると自動で消えるものも増えているといいますが、まだ、こうした車に乗っているという方も多いと思います。
JAF出動原因もバッテリー上がりが“最多”
こうしたバッテリー上がり、どれくらい起きているのでしょうか。JAF=日本自動車連盟三重支部に聞いてみました。ロードサービスの現場に長年にわたって出動していた小林秀樹さんによると、出動理由で一番多いのが「バッテリー上がり」だといいます。そして、正確な統計データは、記録をとっていないのでわからないものの、「現場に行っていた時の体感的に、そのうち2~3割はルームランプの消し忘れが原因ですね」と話していました。
ルームランプは恐らく最も使用する時間帯は暗くなってから。だいたい一日の最後、車を降りるときなどに荷物をとったり、手元を整理したりするときにつけて、そのまま朝までつけっぱなしに気づかず、バッテリーが上がってしまったというパターンが多そうです。
AUTOでしばらくついてるのは進化の証!?
でも、そもそもですよ?ドアを閉めた時に消えてくれれば、AUTOかOFFかなんてすぐに気づけるじゃん!なんでわざわざ30秒もついてるの!?・・・というのが投稿者の疑問ですが、いったいなぜなのでしょうか。こんなニッチな質問に親切に答えてくださったのが、元自動車メーカーの開発者で、自動車研究家の山本シンヤさんです。
スタッフ:
「そもそもルームランプはなぜドアを閉めても消えないんでしょうか?」
山本:
「…そんな質問をされたのは初めてですね」
スタッフ:
「ですよね…。すみませんっ」
山本:
「いえ、まあ簡単に言うと、そちらの方が便利だからですね」
え?どこが便利なの??
山本さんによると、ルームランプが今のようになったのは20年ほど前。それまではAUTOの場合、ドアが開いたらつき、閉まったら消える単純な仕組みだったそう。ん?だったらそのままでよかったじゃないですか。
2000年代に入り、車の制御技術が発達したことで、ルームランプが進化します。ここで初めて、ドアを閉めても30秒ほど点灯するようになりました。実はこの機能、「夜、出発する時」にドライバーをアシストするための機能だったといいます。
「夜、車に乗って、エンジンをかけるまでに、シートベルトを締めたりとか、シートの位置を調整するとか、出発のためにいろいろやることがありますよね。そういう意味合いで30くらいドアを閉めてもついたままで、スッと消えてくっていう機能がプラスされたんです。いわばルームランプの進化とも言えると思います」(山本さん)
なるほど。「夜、車を降りる時」のことばかり考えていましたが、ドアを閉めてもランプがついているのは、出発する前の準備の時に手元を照らすためなんですね!
解決編~君は鍵(ロック)をかけない~
ただ、この出発する時にはありがた~い、30秒点灯機能が、投稿者や津放送局のスタッフたち、果ては全国、全世界のドライバーに、「つけっぱなしなのに気づけないよ症候群」を引き起こしているのもまた事実。この勘違い、どうすれば防げるのか?ついに核心に迫りました。
スタッフ:
「AUTOとONの違いに気付けない。それが原因でバッテリーが上がってしまうっていうのは、どうやったら防げますかね?」
山本:
「…鍵をしめると、普通はルームランプは消えるんですよ。AUTOだったら。ついてるはずないんですけど…」
スタッフ:
「鍵!?」
一瞬、僕の心臓のBPMが190になりましたが、いや、そんなまさか…。試しに投稿者に車をかりて、AUTOの状態で鍵をかけてみると…。
あ、普通に消えた…。きれいに。スッと。この悩みを跡形もなく吹き飛ばすように…。投稿者に確認したところ、自宅の敷地内に車を停めているため、鍵をかける習慣がなかったとのこと。
いや、鍵かけてくださいよ、とも思いましたが、調べてみると車に施錠をしないケース、決して投稿者だけの話ではありません。三重県で去年発生した、車上狙いの件数は439件。そのうち56.7%と、なんと半数以上が無施錠の状態です。自宅などに停めていると、ついつい鍵をかけないことが習慣になっている方が一定数いるようです。
防犯の面からも、ルームランプの消し忘れを防ぐためにも、一番大事なのは施錠、といえそうです。
ドアを閉めてから、
鍵をかけると消える→AUTO
鍵をかけても消えない→ON(つまりつけっぱなし)
鍵をかけてちゃんと確認することで、勘違いは防げるのです。
番外編~それでもルームランプは消し忘れるから~
調査を終えようとすると、津放送局内のランプ消し忘れ経験者たちからこんな声が。
「私は車の鍵をちゃんとかけてましたよ?急いでいる時とか、荷物で手一杯の時とか、バタバタしていると気付けないこともあるじゃないですか!」
そんなどうしても消し忘れてしまうという人はどうすればいいのでしょう?大手カー用品店に尋ねたところ、すぐにできる対策の一つが、ルームランプを市販されているLEDに付け替える方法です。
消費電力を8分の1から10分の1に抑えられるので、バッテリーの状態にもよりますが、上がりにくくなるとはいえます。早速、私も自分の車でやってみましたが、ドライバーなどを使って、結構簡単に付け替えることができました。しかも、従来の電球より明るくもなりました。
ただ、これでも完全にバッテリー上がりを防げるわけではありません。そんな時の最終手段が、こちらも市販されているジャンプスターターです。普段はスマホなどのモバイルバッテリーとしても使用でき、バッテリーが上がってしまった際は車に電力を供給し、復活させることができます(バッテリーの状態や容量によって必ずしもできるわけではないとのことです)。
鍵をかけることで、消し忘れは防ぎやすくなると思いますが、それでも忘れやすいんです!という方は、万が一のため、こんな準備もしてみてはどうでしょうか。
(津放送局 杉野希都ディレクター)