2019年2月

【みえDE川柳】 お題:勝つ

天 AIも母性愛にはかなわない/ほのぼのさん

宮村典子先生 AIとは、人工的に作成された知能を実装したコンピュータシステムやソフトウェアのことを指す。「人間を超える知能」「人工知能」で、産業、医療等いろんな場面で、その知的活動が実用化されつつある、と説明されている。
 凡人が理解するには難しい世界であるが、人工的な神様ということだろうか?
 一方「母性愛」は、人工知能の世界では決して生まれない、血の通った感情の世界に存在する唯一無二の「愛」の存在であると信じる。AIと母性愛を対比させた「勝つ」への着眼が光る。

 

地 もう一度勝ったら足を洗います/アラレさん

宮村典子先生 何に勝ったらとは言っていないが誰もが身に覚えがあって頷(うなず)かされる。「足を洗う」と言っているのでギャンブルかな? とも思えるが決してそればかりではないだろう。スポーツの場かも知れないし、政治家の言葉かも知れないし……。
 「もう一度」に拘(こだわ)るのは、勝利と敗北を繰り返した者の捨て台詞(ぜりふ)? 健気(けなげ)な決心? 諦め? 人間のやるせない性(さが)を詠んでとても意味の深い句。

 

人 ふくろうの首には誰も勝てません/ムギさん

宮村典子先生 ふくろうの首は180度回転して、真後ろを見ることが出来るらしい。全く誰も勝てないではないか。「勝つ」という題で「ふくろうの首」に気付いたのが凄(すご)い。静かに首を回しながら状況を把握し獲物を見つける確かな能力。ふくろうは「森の物知り博士」と言われているらしいが納得である。ふくろうの首の真似(まね)は出来ないので川柳アンテナを修理しよう。

 

<入選>

茶柱を一気飲みして勝ちにゆく/クジラさん

連名の賀状に恋の勝ち名乗り/牛美さん

最近は男も顔で勝負する/ゆずきちゃんさん

勝ちゲーム知ってゆっくり録画みる/渡辺勇三さん

力より神を信じる一点差/冬子さん

瓶の蓋開けるときだけ妻に勝ち/金子鋭一さん

生まれつき楽して食えるパンダ様/夜半亭あぶらー虫さん

勝利して一番先に泣く補欠/乙女ちゃんさん

懸命なリハビリいっぽまたいっぽ/葵さん

勝っている時は蕾に気付かない/紅梅さん

 

宮村典子先生 宮村典子先生

  477句のご投句に感謝です。一句一句、大切に読ませていただきました。「負けて勝つ」「妻に勝つ」「将棋に勝つ」の句が多く、第一発想のまま書かれたのを残念に思いました。最初に考えた句から五句ぐらいまでは思い切って捨ててください。すると、意外な発想が生まれるかも知れません。天・地・人の句にはそれがあります。でも、「川柳を作る楽しさ」「投句する楽しさ」をこの番組で味わっていただくのが一番です。そして更に入選を目指すという意欲を持っていただけたら嬉(うれ)しいですね。

投稿者:NHK津放送局 | 投稿時間:18:50 | 過去の入選作 |   | 固定リンク


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