2018年8月31日

【みえDE川柳】 お題:遊び

天 遊ぼうか棒が一本ありますよ/かぐや姫さん

宮村典子先生 一本の棒で何して遊ぼうか? と誘われた気分になった。何をして遊べるかな? と考えさせられた。一本の棒を使う遊びが頭の中を駆け巡る。ずっと昔、同じことを考えたことを思い出した。今の子供たちは欲しいと言えばどんな高価な玩具(特に最近ではゲーム)でも買い与えられ、飽きれば又(また)別の玩具も。この句はそんな現状に「ちょっと違うんじゃない?」と、工夫がなくなった遊びを憂いながら、「一緒に遊ぶ心の使い方」をも提言している。遊びの原点を伝えてメッセージ性のある一句。

 

地 遊んでる時は忘れるかすり傷/十六夜さん

宮村典子先生 夢中になって遊んでいる時に転んで膝小僧を擦りむいたりしても平気平気!全然痛くない。でも帰る頃になると「遊びの薬」が切れてヒリヒリしてくる。子供だと急に泣き出したり。転んだのが心の場合は、かすり傷の痛みはなかなか治らないが、それでも親しい人と食事をしたりお喋(しゃべ)りをしたり、旅に出たりして楽しく遊んでいる間は傷の痛みを忘れている。「遊び」は誰にとっても良く効く「薬」なのである。

 

人 パソコンを開けば僕の遊園地/あそかさん

宮村典子先生 パソコンの世界を遊園地とした着想が現時代を反映させる。確かに、パソコン機能を熟知している人にとっては、ここはパラダイスだろう。いろんなゲームが続々と更新されるし、知りたいこともほとんど教えてくれる、飽きることのない遊園地なのである。が、パソコンの遊園地には人の息の気配がない。情報の遊園地は楽しくも寂しい気がする。それでも作者にとっては心身を癒す自分だけの遊園地なのだ。

 

<入選>

遊びすぎ入道雲に叱られる/汐海 岬さん

大仏さんもきっとやりたい水遊び/デコやんさん

お月様鬼ごっこなら負けません/ムギさん

ガラケイと別れスマホに遊ばれる/草かんむりさん

思い出も涙も詰まるおもちゃ箱/西井茜雲さん

かるた取りご先祖様に座布団を/あゆかさん

あやとりをしながら昭和語る母/やんちゃんさん

にらめっこ妻には勝てる訳が無い/安田蝸牛さん

血統書付きで夜遊びできぬネコ/ホッと射てさん

どの顔で遊ぶか今日は誕生日/福村まことさん

 

宮村典子先生 宮村典子先生

 何々でどのように遊ぶというような説明句や、砂場、ブランコ、かくれんぼなどの同想句も多い中からの選句でした。てにをはの使い方ミスで選外にした着想の良い句もあり残念に思います。推敲(すいこう)が大事ですね。奇想天外な遊びを期待していたのですが、見当たらず、そんな中で今回は「遊び」の心理的な効用を詠んだ句が上位に浮かびあがりました。入選10句は共感度の高い句です。遊び心を大事に、より楽しい日々を過ごせますように。

投稿者:NHK津放送局 | 投稿時間:18:50 | 過去の入選作 |   | 固定リンク


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