2018年2月 7日

究極の松阪牛【中村信博】

2月5日(月)のおはよう東海では、松阪市大石(おいし)地区で育てられている「究極の松阪牛」を紹介しました。なんと年間およそ10頭しか世に出回らないという非常に貴重な松阪牛なんです。何が究極かというと手間暇かけた時間、肥育期間が極めて長いんです。一般的な松阪牛が、900日前後で出荷されるのに対し、究極の松阪牛は、短くても1200日、長いものでは1700日以上育てられます。

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では時間をかけると、肉質にどんな効果が現れるのか?それは「霜降りのサシ」と「赤身の色」に違いが出てきます。急激に太らせず、じっくりと脂をつけさせることで、霜降りのサシがよりきめ細かになります。糸のような極細のサシが特徴的です。さらに、旨味も凝縮されていくので、赤身の色も変わります。淡いピンクではなく、濃い赤になるのです。

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私も現場で頂きましたが、とてつもなく美味しかったです。食感はしっかりとした歯応えがありながらも、噛めばすっととろけていきます。非常に柔らかいんです。そして、味は甘みが強い。雑味や臭味などは一切なく、脂もさらりとしています。肉の旨味と風味がいつまでも口の中に残り、後を引く美味しさ、幸福感に包まれる美味しさでした。

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しかし、長く育てるのは、簡単なことではないんです。コストがかかるのはもちろん、病気にかかるリスクも高まります。なので、一般的な畜産では、より短期間で大きく育ててしまおうと、無理にでもたくさん食べさせるのが常道です。一方、より長く健康的に育てたいこの牛舎では、食べさせ過ぎないことを最優先。生産者の磯田浩利(いそだ・ひろとし)さんは、牛の体調や前日の残し具合などを観察しながら、与えるエサの量を毎日調整しています。生産性や採算は度外視、牛のことを一番に考えて育てることが究極の美味しさに繋がると言います。

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その中でも、強いこだわりがあるのが水とエサです。こちらは牛たちの飲み水を溜めている井戸。近くを流れる清流、櫛田川の水を汲み上げています。去年の水質調査で、全国160以上ある一級河川の中から最高評価を受けた本当にきれいな水なんです。毎日良い水を飲んでいるからこそ、元気で健康な牛が育ちます。

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そして、与えるエサは2種類。食物繊維が豊富なワラとたんぱく質が豊富な穀物です。人間の食事に例えると、ワラがサラダ、穀物がおかずにあたります。特に穀物は、一般的な農家が市販のエサを使う中、自家製でブレンドするという強いこだわり。麦、トウモロコシ、大豆かす、ふすまの4種類を秘伝の割合で調合しています。先代からの教えでは、麦と大豆かすが肉の旨味に大きく影響するそうです。

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エサやりは朝夕の2回、さらに牛舎を清潔に保つための掃除など、365日欠かすことなく牛たちと過ごす磯田さん。長く育てることで1頭1頭への愛着や絆も強くなります。その分、出荷の際の別れはつらいけれど、「今までありがとう」と感謝の気持ちで送り出しているそうです。その命を頂く私たちも感謝の気持ちを忘れてはなりませんね。

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究極の松阪牛、その美味しさの裏側には、牛たちを大切に思う生産者の愛情と共に過ごす長~い時間がありました。最後に、生産者の磯田浩利さん(右)、毛利元昭さん(左)、そして牛たちと。

 

投稿者:中村信博 | 投稿時間:17:00 | 中村信博 |   | 固定リンク


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