2016年10月

【みえDE川柳】 お題:さわやか

天 いるだけであなたは空気清浄器/べつじんさんさん

宮村典子先生 誰のことを指しているのだろう…と想像させるところが魅力。作者は、「さわやか」から想(おも)いを広げていくとき『特別の人』の存在に思い至ったのである。どんな時も〈あなた〉がいるだけで和やかで爽やかな空気に包まれるシアワセ。その〈あなた〉に向かっての人間愛の告白のような句だと思う。空気清浄器とは上手(うま)い比喩である。

 

地 モネ色の風吹くコスモスの野原/水たまりさん

宮村典子先生 目を閉じると、その風景が浮かぶ。モネは「光の画家」とも言われているように、変化し続ける光と雰囲気の印象を求め続けた画家。「モネ色の風」の表現は、モネ作品を愛する作者から生まれたさわやかな印象である。一面のコスモスが秋の陽に映えモネの世界を作り、そこに佇(たたず)む作者の陶酔感が漂ってくる。文芸センスの匂う句。

 

人 まだ心汚れていない朝が好き/いさおくんさん

宮村典子先生 とても素直な句。「心汚れていない」とは、少し大げさな言い方かも知れないが、一日を一生と思う時、朝は命の誕生であり、魂が生まれる神聖な刻である。生き抜くためには、心に反する言葉も行動も止む無しとする人間世界にあって、その矛盾を感じる作者の想(おも)いこそさわやかで尊いと思う。

 

<入選>

さわやかが売りのキャスター裏がある/夏椿さん

さわやかな人だ尻尾が切ってある/アラレさん

ノーベル賞にさわやかな風ボブ・ディラン/風に吹かれてさん

イヤホンを外して秋の唄を聴く/颯爽さん

散る花の風を香らす爽やかさ/福村まことさん

ヒゲを剃りつくり笑顔の月曜日/落犀庵(らくせいあん)さん

 体重はどうあれ高い秋の空/半田山々坊(はんださんさんぼう)さん

熟年の離婚を決めたひとり旅/さだえばあちゃんさん

手も足もしっかり伸ばし出る欠伸/久実(くみ)さん

さわやかな晩年でしたデスマスク/沢田正司(さわだまさし)さん

 

宮村典子先生 宮村典子先生

 「さわやか」は、作り易(やす)いようで、作りにくい課題だったかもしれませんね。~だからさわやか、さわやかな~と詠むとどうしても平凡な、説明句になってしまいます。どうしたら課題への想いを深めることが出来るかは誰もが悩むところですが、「さわやか」のような形容動詞の場合は読み込まないほうが、より伝達性のある句になると思います。
 入選句のうち五句は「さわやか」を上手(うま)く読み込んでいます。あとは、読み込まずに「さわやか」を上手に表現していますね。
 特に、天・地・人は、なるほど…と思わせる「さわやか」でした。また他に、下五が決まらなくて(着地失敗)の感がある作品がたくさんあり、勿体(もったい)ないナと思いました。やっぱり丁寧に推敲(すいこう)することが大事ですね。

投稿者:みえ~るくん | 投稿時間:18:50 | 過去の入選作 |   | 固定リンク


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