【みえDE川柳】 お題:みえを「歩く」
歩数計半分稼ぐ左足/デコやんさん
歩数計を付けて、昨日は五千歩、今日は一万歩などと言うが、右足で何歩、左足で何歩とは聞いたことがない。
なるほど、半分ずつ稼いだと言われれば納得するしかない。うまいこと言ったものだ。
意外なところに気がついた川柳は貴重である。
人生街道を歩くのもしかり……人は支え合って生きていることに気付きたい。
熊野路の帰りは泣いたひざ小僧/正道さん
今年は、熊野古道の世界遺産登録10周年。その古道を歩いている人は年々増えている。
さて、古道の歴史に感じ入りながら歩き始めた熊野路も、帰り道になる頃には膝がガクガク。
それでも、作者は踏破できたことに大満足しているのであろう。
満足を誘う痛みは心地よいものなのだ。
老犬の足に合わせていく散歩/ねむねむさん
ほんの十数年前に生まれた愛犬。あんなに愛らしく走り回っていた子犬も、あっという間に年老いて、
もう歩くのもしんどそう。犬の寿命はだいたい15年ぐらいだろうか?
飼い主の優しい心情がよく表れた川柳。
老人に合わせて、ゆっくり歩いてくれる犬もいるらしい。
相手に合わせる歩調がすてきな関係を作るのだと……思う。
<入選>
海岸線歩けば長い三重の道/ひなたの布団さん
伊勢神宮参拝よりも味めぐり/We Are Dreamersさん
ツヅラトの襲われそうな道登る/西谷英彦さん
後ろ向き歩いて足を驚かす/匿名希望さん
せっかちと歩くと悲鳴あげる足/青いシクラメンさん
還暦に贈る真っ赤なスニーカー/めぐみさん
ミエゾウの足跡だから飾られる/アラレさん
宮村典子先生
今月の課題は「歩く」で、作りやすい分、同想句(同じ思いの句)が多くありました。
第一発想(課題から、最初に思いつくこと)の句は、みんなが考えるような平凡な句が多いと言われます。
でも、第一発想が、新鮮で鋭い場合もありますから一概には言えないことでもあります。
今、歩いていることについて思うことや、今までに歩いたところで印象に残っているところ、また、
これから歩きたいところなどをユニークに表現した作品をいただきました。