"盲ろう者"の聖火ランナー 聖火に込めた思い」※字幕スーパー(2021年6月3日放送)

富山県での東京オリンピックの聖火リレー。
残念ながら公道での実施は中止になり、代わりのイベントとして点火セレモニーが行われました。
そこに参加した視覚と聴覚に障害のある“盲ろう者”、九曜弘次郎さん(くよう・こうじろう)。
九曜さんが聖火に込めた思いを取材しました。

九曜弘次郎さん、46歳。
全盲の視覚障害者で、聴覚にも障害があります。

九曜弘次郎さんインタビュー

「コロナでみなさんがいろいろ不自由な思いをしていると思うんですけど、早く平穏な日々が戻ってくれたらいいなと思って聖火をつなぎました。
貴重なことに関われてうれしく思うのと同時に、気が引き締まるような思いがしました。」

ステージの上で、聖火のともったトーチを持ちながら手を振る九曜さんと通訳介助員の重富さん

富山市で一人暮らしをする九曜さん。

普段は、視覚障害者向けの商品を扱う会社で、テレワークをしています。
また仕事の合間を縫って、パソコン画面の情報を点字で読むことができる特殊な機器でメールやインターネットを使い、自分と同じ障害のある人たちの支援活動をしています。

九曜さんは、生まれたときから目が見えません。
また、15歳ごろからは少しずつ耳が聞こえにくくなり、周囲とコミュニケーションを取ることが難しくなっていったといいます。

九曜弘次郎さんインタビュー

「耳が聞こえにくくなったときはかなり苦しかったです。
人とコミュニケーションするのが難しくなったので、できるだけ人と会うのを避けたりしたり、そんなような感じで苦しかった。」

「この状況をなんとか変える方法はないか」と模索してきた九曜さんは、自分と同じ「盲ろう者」を支援する組織、「全国盲ろう者協会」に 連絡をとりました。

その中で、富山にも自分と同じように人とのコミュニケーションが困難な盲ろう者が多くいることを知ります。
平成21年、富山の盲ろう者の支援や交流のための組織を自ら立ち上げます。

盲ろう者のことを多くの人に知ってもらいたい。
支援につなげようと、県や市町村に働きかけをおこなったり・・・

盲ろう者と健常者のお花見会などを開き、孤立しがちな盲ろう者と社会とのつながりを増やそうと、奮闘してきました。

九曜弘次郎さんインタビュー

「盲ろう者が自由に、自分のやりたいことをやるということを実現できたらと思っています。」

九曜さんと通訳介助員の重富さんが走る足元を後ろから見る

九曜さんが聖火リレーに応募したのは、その活動をさらに広げたいという思いからでした。

九曜弘次郎さんインタビュー

「なかなか盲ろう者のことが知られていないので、僕が走ることによって盲ろう者のことが少しでも知ってもらえたらと思って応募しました。」

九曜さんをサポートするのが、重富千恵子さんです。九曜さんと同じランニングサークルに所属していて、盲ろう者を支援する「通訳介助員」でもあります。

通訳介助員 重富千恵子さんが九曜さんに説明
「右手には芝生の上にワンちゃんがお散歩。」

トーチの代わりに、金属バットを立てるように手に持ち、いっしょに走る練習をする九曜さんと重富さん

九曜さんは、はっきりした声なら聞き取ることができます。
重富さんから周りの状況を説明してもらいながら走ります。

通訳介助員 重富千恵子さんインタビュー

「九曜さんを見ていていろいろな事にチャレンジされるのってすごいなと感心しています。私も九曜さんと同い年の息子もいるんですけど、本当にそういう面で自分の息子みたいな感じですよね。」

インタビューに答える通訳介助員の重富千恵子さん

通訳介助員 重富千恵子さんが九曜さんに説明
「はい、こっち、トーチだよ。反対だよ(笑)」

周りのサポートを得ながら練習を重ねてきた九曜さん。
「障害があっても諦めずに挑戦する姿を見てほしい。」
九曜さんが聖火に込める思いです。

九曜弘次郎さんインタビュー

「障害があっても工夫したり仲間たちの助けがあればいろいろなことに挑戦できるということを、障害を持って諦めている人とかいると思うんですけど、そういう方々とか一般の方々に知ってもらいたい。」

インタビューに答える九曜弘次郎さん

そして迎えた、当日。

小矢部市を走る予定だったランナーの最後に登場した九曜さん。
重富さんからトーチキスのタイミングを教えてもらいながら、無事に大役を果たしました。

聖火イベント当日、無事にトーチキスを終え、ステージ上でポーズをとる九曜さんと重富さん

九曜弘次郎さんインタビュー

「走る練習もしていたので、できれば走りたかったなという気持ちはあります。障害があっても諦めずにいろいろなことに挑戦する、どのような状況にあっても諦めずにいろいろなことに挑戦してほしい、そういったことを伝えたいと思います。」

イベントを終えたあと、トーチを持ってインタビューに答える九曜さんと重富さん

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