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能登半島地震~ペットとの避難は~

  • 2024年02月13日

NHK富山アナウンサーの岩﨑果歩です。
元日に発生した能登半島地震で、富山県内では一時1万6000人余りが避難を余儀なくされました。
その中には、ペットを連れて避難した人もいます。
私が避難所へ取材に行くと、ペットと一緒にロビーの一角で過ごす一人の女性の姿がありました。
その姿を見て、ペットを連れた人の避難についてもみなさんで考えるきっかけを作りたいと、
今回、ペット避難についての取材を始めました。

犬2匹インコ2羽を連れて

2024年2月1日撮影

富山県氷見市の子浦幸子さんです。
子浦さんは、ポメラニアン2匹とセキセイインコ2羽を飼っています。

元日の地震で、氷見市にある自宅は大きな被害を受けました。
安心して住めるような状態ではないということです。

子浦さんが最初に行った避難所

子浦さんが最初に向かった避難所が、近所の小学校です。
幸いにもペットと一緒に過ごせる部屋を用意してもらえましたが、
このようなケースは多くありません。

ペットとの避難は「同行避難」

 

環境省や富山県は、ペットとの避難について「同行避難」を推奨しています。
これは、ペットと一緒に避難行動をすることを意味していて、
基本的には、人が生活する部分とペットの飼育場所は切り離されます
動物が苦手な方やアレルギーのある方に配慮するためです。避難所によっても対応は異なります。

子浦さんがいた避難所は1月5日の朝に閉鎖され、別の避難所に移ることに。
そこには、こんな張り紙がありました。

当時、避難所の運営にも関わっていた施設の館長、鎌仲正寿さんに話を聞きました。

動物が苦手な方がいらっしゃったり、アレルギーのある方もいらっしゃったりしたので、
ほかの部屋と比べるとちょっと室温も低く、大変申し訳ないと思ったのですが、
それしか方法がなかったというような感じでした。

困難だった避難生活

子浦さんとインコはロビーの一角で一緒に過ごすことはできました。
しかし多くの人が行き交うため、迷惑になっていないか、
なかなか気の休まるときはなかったと言います。

ポメラニアン2匹は、母親と車の中で過ごしました。

子浦さん

キャリーやケージは持ってきていたのですが、支援物資が置いてあったり、
被災された方たちが集まってテレビが見られる場所があったりして、
ケージを置く場所はなかったですね。
みなさん被災されて精神的にもめいっているところで、
犬がほえているのもどうかなと思ったので車中泊にしました。

子浦さんの母、紀美枝さんです。

この子らはやっぱり家族なので、一緒にいたいというのが一番ですね。

およそ1週間、避難所のロビーと車内を母親と交代で過ごし、疲労はピークに達していたと言います。

子浦さん

足はすごくむくみました、あの時は。ずっと座っている状態だったので。
ここで車中泊している時が一番精神的につらかったですね。
ペットたちが寒い思いしているっていうのがつらかったですね。

避難生活はペットにも影響が

長引く避難生活は、子浦さんだけでなく、ペットにも影響が出ました。
ポメラニアンのルカくんは、被災後に体調を崩したと言います。

下痢したりとか、噛みつきもひどかったですし。
ちょっと物音がしたり、すっと触ったりするだけで、噛みつくんですよ。
もうびっくりして、飛び起きて。

富山県高岡市の動物病院では、地震後、患者が増え、
去年の1月より20件多く診察をしたということです。
院長の和田章秀さんです。

地震の時不安で興奮して、暴れまくって爪が折れちゃったりとか、けがをしたりとか、
お腹を壊しちゃったりとか、動物たちもストレスは大きかったんだろうなと思いますね。

ペットと同じ空間で避難できるように

ペットを連れた人の避難の助けになりたいと、
今回、富山県高岡市で臨時の避難スペースを設けた人がいます。

宮腰千景さんです。動物愛護団体のNPO法人で活動しています。
今回の地震を受け、去年オープンした動物と一緒に利用できるカフェの営業を急きょ取りやめ、
お店の一角を開放することにしました。

地震発生から10日目の夜、子浦さん家族は宮腰さんを頼り、
このスペースでペットと一緒に過ごすことができました。

わらをもすがる思いでしたね。
本当に寒かったので、雪の中で車中泊ずっと続いていくの。
とにかく早く一部屋でいいから一緒にいられる場所があるんだったらと思って。
あの子たちも常に私や母が一緒にいられるし、安心したと思います。
すごく喜んで遊んでいました。

宮腰さん

本当に元気がなかった小鳥さんが2羽ともちゅんちゅん鳴いていたのが、
こういう場所でも小鳥さんたちにもお役に立ったかなと思うとすごくうれしくて。
でも場所の提供とかだけではなくて、
いろんなもっともっと大事な細かなことがあるなということが分かったので、
今回のことで本当に勉強になりました。

新たな避難施設の開設に向けて

「ペットと一緒に避難した人たちが“気の休まる空間”を作りたい」
宮腰さんは、それぞれ個別のスペースで過ごせる専用施設の開設に向けて、動き出しました。

この日は不動産会社の担当者と、施設の物件について打ち合わせをしました。
宮腰さんは、行政の指導も受けながら、早ければ2,3か月のうちに、
専用施設の開設を目指すということです。

人間も動物も遠慮があるからそういうのをなくした、プライバシーとか段ボールで仕切るとか、そういうレベルではなくて、本当に自分たちがくつろげて次のステップをしっかりと考えられる時間や空間がもてる環境づくりをお手伝いしてあげたいです。

環境省によりますと、全国のペットとの避難の現状については、完全には把握できていませんが、
各自治体でもペットと一緒に避難する「同行避難」は広まりつつあるということです。
ただ、宮腰さんが取り組んでいるような、ペットと一緒に過ごせる施設は、多くありません。

災害から逃れたあと、避難が長期化することもあります。
誰もが安全、そして安心をしっかり確保しながら過ごせるように、
ペットとの避難をどうするかということも、今後考えていかなければならない問題だと思います。
 

  • 岩﨑果歩

    アナウンサー

    岩﨑果歩

    ニュース富山人キャスター
    富山生活4年目
    実家でチワワを飼っています

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