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津波の高さどこまで?

シリーズ・最新調査からたどる富山の津波リスク #1
  • 2024年02月06日

研究者らの津波調査 何がわかってきた?

元日の地震から一か月が経ちました。
県内では31年ぶりに津波警報が発表され、富山市の検潮所では80cmの津波を観測しました。

いったい津波はどのように押し寄せたのか?
1月30日まで、津波の研究者たちによる現地調査が行われました。

最新の調査で明らかになりつつある、富山の津波のリスクを全3回のシリーズでお伝えします。
1回目は「津波の高さ」についてです。

津波の「遡上高」とは?

富山県立大学や東北大学などの研究者たちによる津波の合同調査です。朝日町から氷見市まで、県内沿岸部のおよそ30地点で津波の痕跡などを調べました。

地震発生の3日後から、県内の津波の被害状況を調査している富山県立大学の呉修一准教授です。

津波の波高が波の高さがここまで来ていたっていうので、だいたい1.7~1.8mくらいの波がこの雨晴海岸には来ていたことがわかりました

呉准教授らが注目したのが津波が陸地を駆け上がった高さ。津波の「遡上高」です。
気象庁が「津波の高さ」として発表する数値は、検潮所で観測された波の高さです。
今回、富山市で観測された「80cmの津波」はこの値を示しています。
一方で「遡上高」とは津波が陸地をどこまで高く駆け上がったのかを示すものです。

「津波の高さ」と「遡上高」の違い ※イメージ

津波は、高波などと比べても、非常に大きなエネルギーを持っているため、勢いよく陸地を駆け上がります。

簡単に言うと海水面から津波がどこまであがってこれるのかを端的に示す値となりますそれが遡上高です。

80cmの津波がきたってなったじゃないですか。そうすると、そこから(津波は)かけ上げるので、下手をすると3倍から4倍の高さまで津波が駆け上がることがあります。

観測された津波の高さが80cmの場合、海抜1mの場所に避難すれば安全だと考えてしまうかもしれせんが、津波はその3倍以上の高さまで、駆け上がってくる危険性があるというのです。
 

海抜1mの場所にいても…

 

津波はその3~4倍までさかのぼることが

呉准教授らが今回の調査で確認した津波の痕跡です。
砂浜に打ち上げられた漂着物。

芝生には津波が運んだとみられる土砂なども残っていました。
こうした痕跡を富山湾の30地点でたどることで、県内の津波の遡上高が明らかになりました。

県内のどこで津波が高かった?

呉准教授らが調査した県内の津波の遡上高の結果です。
魚津漁港や氷見市の2つの漁港では津波の遡上は確認されませんでした。
 

しかし、それ以外のすべての地点で津波の遡上や潮位の上昇が確認されました。
入善町から朝日町では1.4mから2m、潮位が上昇。
滑川漁港では1.3m。
射水市の新湊マリーナでは1.7m。
県内で最も高い数値を観測したのは氷見市の島尾(しまお)海岸。2.34mでした。県東部と氷見市の一部では、80cmと観測された津波の高さの2倍から3倍近くまで、津波が押し寄せていたのです。
 

氷見市東部と黒部市~朝日町で高かった津波 なぜ?

今回の結果について呉准教授は次のように分析します

(富山湾は)今回の能登半島で津波が起こって、それが回り込んでくるところなんですね。
東の入善、黒部、朝日の方は(直接)津波が当たるため、高くなっています。
あとは、湾の奥に向かって津波が来ているので、それを受け止めて、地形上集まりやすかったのが氷見の沿岸部になっています。

 

黒部市~朝日町沿岸部は能登半島から津波が直接到達
氷見には富山湾に到達した津波が集まった

「ふつうの波」とは異なる「津波」 正しく恐れて避難を

80cmを大きく上回る富山の津波の遡上高。
津波の性質を正しく理解し、避難行動につなげることが大事だと呉准教授は指摘します。

津波っていうのはこういう形で段波っていうんですけど、1mの波がこう(壁のように)押し寄せるんですね。
押し寄せた津波が陸に駆け上がっていくので、もし3mのところにいたりすると波に巻き込まれてしまうことが起きるので、注意が必要です。
県民の皆さんは、冬の富山湾は波浪が高いと感じられていると思うのですけど、そういう波とはちょっと違っていて、もっと怖い高さだと思ってもらった方がいいです。

シリーズ「最新調査からたどる富山の津波リスク」。
次回は今後発生する恐れのある「富山湾周辺の活断層による津波のリスク」についてお伝えする予定です。

 

ほかの連載はこちら
第2回:検証 富山の活断層 今後の津波リスクは?
第3回:海底地すべりによる津波 広範囲で発生か?

  • 池田航

    ディレクター

    池田航

    令和3年入局。富山局が初任地。自然・環境問題から社会課題まで幅広く取材。

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