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富山湾の魚を守る!最新の栽培漁業を武田祐季キャスターが取材

ニュース富山人「みんなでちょいエコ宣言」
  • 2023年10月02日

こんにちは、NHK富山放送局キャスターの武田祐季です。
平日午後6時10分から放送の「ニュース富山人」内のコーナー、「みんなでちょいエコ宣言」では、毎月1回、県内のエコ活動や先進的なSDGsへの取り組みをご紹介しています。
今回は、富山湾の栽培漁業に関する最新の取り組みを取材してきました!(9月19日(火)放送)
 

栽培漁業とは?

自然界では、魚は卵から稚魚になるまでの期間にほとんどが死んでしまい、生き残るのは数万尾に1尾と言われています。
栽培漁業では、そんな弱い魚の赤ちゃんを人間の手で育て上げます。
大切に育てられた稚魚はその後海に放流され、大きくなったら一部が漁師さんに漁獲されます。

栽培漁業は富山湾でも行われています
多くの魚が獲れる豊かな富山湾ですが、この先も魚を獲り続けるためには海の資源(魚)を増やすことが必要不可欠です。
富山湾では、毎年栽培漁業で放流したうちのおよそ1割が漁獲されているというデータがあります。漁獲されなかったものはそのまま海に残るため、富山湾の資源を増やすことにつながっているのです。

SDGs目標14 海の資源を守る

つまり、栽培漁業はSDGsの目標にもつながる持続可能な漁業なのです!

最先端のエコな栽培漁業!

8月31日、氷見市にある富山県栽培漁業センターにお邪魔しました。
ここで、まさに富山湾で放流する稚魚の生産が行われているんです。

今回は特別にクロダイの飼育水槽を見せていただきました!
大きな水槽がずらりと並んでいます。
上から水槽を覗いてみると、あまりの深さに足がすくんでしまいました。
深さは4mほどあるそうです・・・!

飼育員さんがエサやりをする姿も見られました。とても食いつきがよく、小さいクロダイたちが水面に群がっている様子がかわいらしかったです🐟
そして、気になったのが、飼育水槽の隣にある小さめの水槽機械(下の画像の)。
これは一体何なんでしょうか?

これらは実は3種類のろ過装置
このろ過装置を用いて行っているのが、富山県栽培漁業センターが全国に先駆けて導入した「半循環飼育システム」です。
これまでの飼育方法では、魚のフンや食べかすによって汚れた水を海に大量に放出していました。このシステムでは、その問題を解決することができるのです。

半循環飼育システムの鍵を握る、ろ過装置を細かく見ていきましょう!

まず、沈殿槽とこの泡沫分離機を使い、泡の力で大きなゴミを除きます。(画像中の

つづいて、生物ろ過槽でさらに水を綺麗にします。(画像中の
生物ろ過槽には、牡蠣の貝殻を砕いたものが入っています。そこに住むバクテリアの力でろ過を行うのです。
バクテリアは、水に含まれる有害なアンモニアを硝酸などの比較的無害な物質に変えてくれます。

以上がろ過のしくみです。半循環飼育システムでは、汚れた水をこれらのろ過装置で綺麗にし、大部分を循環(再利用)します。そうすることによって、海に放出する汚れた水を削減でき、環境に優しいのです✨

また、半循環飼育システムの利点はそれだけではありません。
ろ過装置を用いて水槽内の水の大部分を再利用するため、水槽内の水質が安定させやすいのです。それは魚に優しく、稚魚の生産量を増やすことにもつながるそうです。

全国的にも珍しい「栽培漁業を伝える」取り組み

富山県栽培漁業センターは昭和53年に設立された歴史ある施設で、長年富山湾の栽培漁業を支えてきました。そんな施設がことし4月にリニューアルオープンしたのです。
リニューアルで大きく変わったのは、先述した稚魚の生産に加えて、未来に「栽培漁業を伝える」施設としての役割を担うようになったこと。

これまでは、一般の人は栽培漁業センターに立ち入ることができませんでした。
それは、外部から魚に病気を持ち込まないため、また施設の老朽化などが理由です。
しかし、今回のリニューアルで、全国の栽培漁業センターの中でも珍しい一般向けの開放エリアが設けられました。

8月31日には、そんな新しい富山県栽培漁業センターに氷見市立比美乃江小学校の5年生の児童のみなさんの姿が!
小学5年生の社会科では授業で漁業について勉強します。そのタイミングに合わせて社会科見学に訪れていました。

まず、児童たちはそれぞれの席に座り、動画を見て栽培漁業について学んでいました。
熱心にメモを取る姿も見られました!

その後、工夫の凝らされた一般開放エリアに移動し、体験を交えながらさらに理解を深めていきます。

子どもたちを惹きつける「一般開放エリア」

ここでは、一般開放エリアの中でも特に面白いと感じたものを4つご紹介します!

①展示室
壁一面に張り巡らされたパネルには、学校の授業で漁業を勉強する小学5年生向けの内容が書かれています。栽培漁業についてはもちろん、富山湾の魚についても詳しくなれるような読み応えのある内容です。中には小学生にとっては難しいかなという内容もありますが、それもさらに学習意欲を高めてもらうための工夫なのだそう。

そして、展示室で目を引くのがこちらの小さな水槽!富山湾で栽培漁業が行われている魚の生態を、パネルと本物の姿の2つを通して学ぶことができます。

②飼育エリアが見学可能に!
飼育エリアに併設する開放エリアを2階建てにし見学通路を設けることで、これまで一般の人は立ち入ることができなかった飼育エリアを見学することができるようになりました。
児童たちも、ガラス越しに興味津々で覗き込んでいました。

③エサやり水槽
栽培漁業が行われている魚たちにエサをあげることができる大きな水槽もあります。
7月に取材に行った際には、水槽の中にヒラメがいました。
普段はおとなしいイメージがあるヒラメがものすごい勢いでエサに食いついてくる姿に、思わず夢中になってしまいました。近くで魚を見ることで意外な生態に気づくことができます。

④ふれあいプール
児童たちが裸足で入っているこちらのプール。実はこのプールの中には、クロダイとキジハタの2種類の魚が泳いでいるんです!
一見不思議な環境にも見えますが、小さい頃に行った川遊びなどを思い出すような光景です。
いまの子どもたちは海や川で魚と触れ合う機会が減っています。そんな子どもたちに安全な場所で魚に触れ合ってもらおうと、このプールが作られました。

児童たちは、魚を捕まえようと懸命に追いかけていました。
しかし、魚は意外とすばしっこく、なかなか捕まえることができません…!
運よく捕まえられた際には、魚のうろこの感触を作業用手袋越しに感じられたりと、自分の五感を使って生態を学ぶことができ、児童たちにとっても貴重な体験となっていました。

富山湾の豊かさを守る道しるべに…!

社会科見学を終えた児童たちの感想は?
 

魚がいっぱいいて、びっくりした!
こんなにたくさんの魚を見たのは初めてでした。

栽培漁業は、人間が暮らすためにも役立つので、
とても良い漁業だと思いました!

未来の富山湾を担う子どもたち。
貴重な体験学習を楽しみながらも、富山湾の栽培漁業についての理解が深まっていました。

最後に、富山県栽培漁業センター所長代理 飯田直樹さんに、これからの栽培漁業について伺いました。
 

飯田さん

たくさんの人に魚に触れ合っていただくことで、魚を好きになっていただきたい。
また、富山県の水産業や栽培漁業の意義というものを伝えていくことで、この先の代にも栽培漁業を継続させていければと考えています!

今回のリニューアルにも、中心となって携わった飯田さん。その熱い思いが、子どもたちにもしっかり伝わっているようでした。
そして、今後も長く栽培漁業を続けていくには、周りの理解や協力が必要不可欠だと言います。
エコな飼育方法を実践するだけでなく、それを伝える役割を果たしている富山県栽培漁業センターは、そんな未来を作るための道しるべとなることでしょう。

また、現在は県の水産研究所とともにアカムツいわゆるノドグロの栽培漁業の実現に向けて奮闘中だそうです。
これが成功すれば国内で初めての例となるそうで、期待が高まっています。

最後になりましたが、取材にご協力いただいた富山県栽培漁業センターのみなさん、氷見市立比美乃江小学校のみなさん、ありがとうございました!
 

  • 武田祐季

    NHK富山 キャスター

    武田祐季

    キャスター1年目🔰 
    富山に来て半年が経ちました。
    スーパーのお刺身でも美味しい富山、最高です!
    寒ブリが食べたいので早く冬になってほしいです。



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