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かわ知り 「黒部川」

命と暮らしを守るために
  • 2023年07月12日

【令和5年7月放送】 ※内容は放送時に基づく

 

梅雨に入り、ことしも九州など各地で大雨による被害が発生していますが、もし万が一、自分の身近な川に氾濫の危険が迫ったらどうしたらいいのか。県内を流れる河川を取り上げ、いざというときに命を守るポイントをお伝えします。

題して「かわ知り」。今回は、県東部を流れる黒部川についてお伝えします。

 

黒部川は、長野県との県境にある鷲羽岳(わしばだけ・標高2924m)を源に、北アルプスの山々の間、深いV字谷を進みながら黒部川扇状地へと流れ出て、日本海に注ぐ1級河川です。

黒部川というと、日本有数の巨大ダムである“黒部ダム”やトロッコ電車が走る“黒部峡谷”など、豊かでダイナミックな自然を生かした発電事業や観光地のイメージが思い浮かぶかもしれません。

 

では、実際にはどんな川か、黒部川を管理する黒部河川事務所の谷川さんに話を聞きました。

黒部河川事務所  谷川健一 事業対策官
谷川事業対策官

「3000m級の立山連峰、後立山連峰から日本海までの約85キロを一気に流れ下る、わが国屈指の急流河川です」。
「流域の大半を占める山地部は国内屈指の豪雪地帯であり、年間降水量が4000ミリを超える雨の多い地帯崩壊地も多く土砂の流出が盛んであり、一度氾濫すると甚大な被害が発生する恐れがあります」。

ほかの県内の河川同様、急流河川のうえ、山地の年間降水量は国内の平均降水量の2倍以上にもなります。さらに流域の山地は地質的に崩壊しやすく、土砂の流出が多いとのこと。その崩壊か所は、流域全体でおよそ7000か所もあるそうです。

 

そのため、過去にはたびたび水害を引き起こしてきました。

谷川事業対策官

「黒部川の代表的な洪水には昭和27年洪水や、戦後最大と言われている昭和44年洪水がありますが、いずれの洪水も堤防が決壊し、黒部市や入善町に大きな被害をもたらしました」。
黒部川は非常に急流であるため洪水のエネルギーもすさまじく、堤防を削り取り、決壊に至ったことが記録として残っています」。

昭和27年洪水 愛本堰堤管理棟
                               画像提供:黒部河川事務所
昭和44年洪水 愛本地区
                               画像提供:黒部河川事務所
昭和44年洪水 南島堤(入善町福島)決壊状況
                               画像提供:黒部河川事務所

近年では平成7年7月、梅雨前線による局地的な豪雨により上流部で大規模な崩壊が発生、黒部峡谷鉄道が寸断されるなど大きな被害が起きています。

平成7年7月 黒部峡谷鉄道の被害
                               画像提供:黒部河川事務所

 

それでは、命を守るためのポイントです。

命を守るポイント①『山地の雨に注意』

 

こちらは、黒部川の流域を示した地図です。オレンジ色の線で囲まれた範囲が流域になるのですが、ここに降った雨や雪が集まり、黒部川の流れを作ります。この地図を見ると分かるように、流域は、ほぼ100%山地なんです。
 

黒部河川事務所  谷川健一 事業対策官
谷川事業対策官

「平野部が天気がよくても山のほうで大量の雨が降ることもありますので、そこは気を付けなければならないと思います」。

つまり、立山や薬師岳、白馬岳(しろうまだけ)など北アルプスの山々で、激しい雨が降り続いていたら、その雨水が扇状地へと流れてきて、洪水が起こる可能性があるのです。

ポイント①のおさらいです。

黒部川の流域はほぼ100%山地です。黒部川扇状地など黒部川下流の平野で晴れていても、上流の山地の雨には注意してください。

 

 

ポイント②『黒部川扇状地の特徴を知る』

 

                               画像提供:黒部河川事務所

こちらは、日本海から見た黒部川扇状地の写真です。ここに、横方向と縦方向の線を引き、その断面図を見てみます。

                               画像提供:黒部河川事務所

まずは横方向AーBの断面図です。

                               画像提供:黒部河川事務所

黒部川から離れるにつれて、標高が低くなっていることが分かります。板の上に乗った“かまぼこ”みたいに見えます。

今度は、縦方向CーDの断面図も見てみます。

                               画像提供:黒部河川事務所

海に向かって下り坂になっています。水は当然、高いところから低いほうへと流れるため、黒部川で氾濫が起こると、そこから水は縦方向、海のほうへ流れていくとともに、横方向にも広がって、黒部市や入善町の中心部を含む極めて広い範囲に被害をもたらす可能性があるのです。

詳しいところは、次のポイント③で見ていきます。

 

 

ポイント③『ハザードマップを見て事前に備える』


こちらは、黒部川の「洪水浸水想定区域図」です。

黒部川水系黒部川洪水浸水想定区域図(想定最大規模)

こちらは浸水の深さを示しています。川に近いところは主にピンク色、想定される深さが50センチから3メートル未満です。黄色は50センチ未満です。

50センチ未満ならなんとかなるかと思うかもしれませんが、黒部川は急流河川ですし、ポイント②で見たように、川から離れるにつれて、また海に向かって土地が下がっていますので、氾濫した水の流れも勢いがついて速くなります。また、上流部の崩壊地から崩れた土砂や石などが一緒に流れてきますので、大変危険です。決して油断はできません。

黒部川水系黒部川洪水浸水想定区域図(浸水継続時間)

またこちらは、浸水がどれだけの期間にわたり続くのかを示した地図です。これを見ると、特に海に近いところで、色が濃い部分が目立ちます。こちら赤色は1週間から2週間未満、そして紫色になりますと2週間から4週間未満もの間、浸水が続くと想定されています。

谷川事業対策官

「海岸のほうに行きますと水はけも悪くなりますし、上流から次々と水が流れ込んでくることになるので、継続時間が長くなります」。

その地域の方々は、それだけ長い期間水につかる可能性があると、考えておくことが必要です。

 

それでは、ポイント③のおさらいです。

万が一の際、自分の家の周りはどのくらいの深さまで浸水するのか、また水が引くまでどのくらい時間がかかるのか、ハザードマップで調べた上で、いざというときに備えてください。

 

 

黒部河川事務所  谷川健一 事業対策官
谷川事業対策官

「黒部川も昭和44年以降、大きな災害は発生しておりませんが、いつ何時、想定を超える雨が降ってもおかしくないことを認識していただいて、常日頃の防災用品の確認、また万が一に備えて避難場所や避難ルートの確認をしていただく、自分の命や家族の命を守るよう情報収集また早めの行動をとっていただくようお願いします」。

県内でも6月に、集中豪雨により、立山町で白岩川の水があふれる浸水被害も起きています。まだまだ梅雨真っ盛りですし、決して油断はできません。いざというときに備えて、ふだんからできる備えをお願いします。

 

自分の命、そして大切な人の命を守るためにも、いざという時に備えてください!

 

                                      令和5年7月放送

  • 牧野雅光

    ニュースカメラマン(防災士)

    牧野雅光

    報道の仕事に携わる中で、防災・減災報道の大切さを痛感し、 防災士の資格を取得しました。 とは言え、まだまだ。日々勉強中です。

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