ページの本文へ

  1. トップページ
  2. ニュース特集
  3. ジェネリック医薬品問題①疲弊する医療現場

ジェネリック医薬品問題①疲弊する医療現場

執筆者のアイコン画像富山局医薬品取材班
2023年02月15日 (水)

相次いで発覚したジェネリック医薬品の製造不正問題。
その影響と背景を全3回のシリーズでお伝えします。

第1回は医薬品不足が起きている医療現場の現状をお伝えします。
相次ぐジェネリック医薬品の欠品・出荷停止。
対応に追われる病院の薬剤師の姿からは深刻な現状が見えてきました。

第2回 不正の背景は?専門家に聞く はこちら
第3回 大手メーカー「このままでは危機的な状況」はこちら

 

1. 2年以上… 慢性的な薬不足 

ジェネリック医薬品は先発医薬品よりも薬価が安く、国は患者の負担軽減や医療費の削減につながるとして普及を後押ししてきました。

2022年9月時点の使用割合は79%にのぼっています。

ジェネリック医薬品への依存度が高まる中、日医工をはじめとする各メーカーで不適切製造の問題が発覚しました。ジェネリック業界ではいまも出荷停止や出荷調整が続き、2年以上にわたって慢性的な薬不足が続いています。

toyama_shimin.jpg

地域医療の中心を担う富山市民病院。ここにもジェネリック医薬品の供給不安の影響が出ています。

薬剤部で薬の供給状況に問題がないか確認している部署では、不足するおそれがある薬について細かく情報を共有しています。

yakuzaishi.jpg2022年12月、ある薬の納入が近くストップするという連絡が卸業者からありました。

高血圧などの治療に使う「スピロノラクトン」です。

supinoro.jpg

この薬のジェネリック医薬品を作るメーカーは9社ありますが、業界団体が2022年12月に公表した資料では2社が「出荷停止」、4社が「出荷量減少」となっていました。

 この病院はこれまで「出荷量減少」のメーカーから供給を受けていましたが、連絡を受けて急きょ対応を協議。

 別のメーカーに切り替えることになりました。

seizouteishi_image.png

別の薬に切り替えたり、切り替えの準備を進めたりしているのは、この2年余りでおよそ200品目にのぼります。

薬剤師たちはメーカーのホームページや全国の薬剤師の有志でつくる情報サイトを確認して、出荷状況に変化がないかチェックする業務に追われています。

teishi_ichiran.jpg

別の薬に切り替える際の事務手続きや、病院内への周知にも時間を取られるようになったといいます。 

富山市民病院  薬剤部  舟瀬和美科長
「1つが出荷停止になりました。それで後発薬の中から選びました。これにしようと思ってよくよく供給(状況)をみるとやっぱりダメかもと…。現場でやっているスタッフはたぶん、またかと思いますね。すごく負担になっていると思います。案内が来るだけでかなりストレスを感じているのではないかと思います」

funahashi_san_2.jpg

 

2. 不足品目は次々と 

さらに、供給停止の医薬品が増えるのではないかという懸念も出ています。

2022年12月、「事業再生ADR」が成立した経営再建中のジェネリック医薬品大手、「日医工」。

会社側が公表した事業再生計画に、採算がとれない品目=不採算品からの撤退が盛り込まれていたからです。

nichiikou.jpg

そうしたなか、日医工は1月、高血圧や狭心症の薬「アロチノロール」で販売中止の手続きを進めているという通知を出しました。

日医工は、この薬を含めて何が不採算品に該当するかなど詳しいことを明らかにしていません。

arochi.jpg

病院では別のジェネリック医薬品への切り替えを余儀なくされました。

 富山市民病院 薬剤部 舟瀬和美科長
「不採算品が何かというところがわからないのでそこをどうしていくかですね…早めに知りたいこともありますし、ちゃんと供給できる代替品があるのかという不安もあります。そういった情報を収集できる余裕を持って情報を知りたいかなと思います」funahashisan_inta.jpg

 

なんとか持ちこたえているものの、現場の負担は限界に近づきつつあります。

通常の出荷を続けているメーカーでも、新規の注文を受け付けていないケースがあり、別の薬に切り替えるのは簡単ではないという声も聞かれました。 

3. なぜここまで長期化?多品種・少量生産の業界構造

なぜここまで薬不足が長期化しているのか。

背景にはジェネリック医薬品メーカー特有の事情があります。

 ジェネリック医薬品メーカーは新たに投入する薬で利益をあげる一方、それ以前に投入した薬では利益をあげにくい構造で、多品種・少量生産のメーカーが多くなっています。

seizou_line.png

 生産ラインに余力がない状態で製造している場合、新しい薬を作るのはとても難しく、あるメーカーが出荷停止になっても代わりに引き受けられません。

業界全体が連鎖的に出荷調整を起こしやすいという構造的な課題があるのです。

 

こうした問題の解決には新たな設備投資や人員の配置などを含めて時間がかかります。

ジェネリック医薬品の供給不安はまだ終わりが見えない状況です。


 

シリーズジェネリック医薬品問題
関連記事はこちら

第2回 不正の背景は?専門家に聞く
第3回 大手メーカー「このままでは危機的な状況」

 

最新の記事