鳥取 70歳で挑む 「おじいちゃんの甲子園」
- 2023年12月22日
『この年で夢の舞台に立てて感無量です』
還暦以上の野球チームが戦う「おじいちゃんの甲子園大会」。
甲子園で試合ができる時間は、わずか30分。
大会出場を目指して結成された、米子市のチームが、悲願の夢舞台に全力で挑みました。
(米子支局映像取材 中島北登)
「おじいちゃんの甲子園大会」は、60歳以上の還暦野球チームを対象にした大会です。
還暦の部と古希の部で分かれており、今大会は全28チームが参加しました。
初日のみ甲子園が使用可能で、全チームに試合を行ってもらうため、甲子園での試合時間は『30分』と決められています。
試合の途中でも中断し、続きは翌日以降に、別の球場で行われます。
鳥取県内の草野球チームから、60歳以上の選手が集まった、「米子パワーズ」。
甲子園大会出場を目指し昨年結成され、ことし還暦の部で出場を決めました。
チームのレギュラーメンバーで最高齢の松田淳一さん。この冬で70歳を迎えます。
松田淳一さん
「甲子園は野球人として夢の場所ですよね、まさか70歳になって行けるとは思いませんでした」。
松田さんが野球を始めたのは20歳の時。
職場の草野球チームに誘われて以来、およそ50年続けてきました。
周りは野球経験者ばかりで、最初はチームで一番下手だったと言います。
松田淳一さん
「もうレベルが違いましたね。球も速いですし、打てませんでし、守備もダメでした。」
幼少期に孤児院に預けられ、1人で誰にも負けないように生きてきた松田さん。
野球にも全力で取り組むようになり、毎日練習するようになりました。
松田淳一さん
「自然とハングリーで、雑草のように生きていますね。毎日トレーニングができるのも、みんなに負けたくないという気持ち。」
松田淳一さん
「練習は毎日1時間以上、30年くらい続けています。
僕は学生時代、野球経験者ではないから、練習しないと全然打てないし、下手だから練習しています。」
米子パワーズのチームメイト
「松田さんのことは、昔から知っているわけじゃないですけど、20年ちょっと前から。
とにかく一番練習している。最初のころはそんなにうまいと思わなかったですけど、今でも足は速いし、バッティングもだんだんうまくなっている。」
松田淳一さん
「なんとかいいプレーをして、チームに貢献できたらと頑張っています。
『甲子園』ということで、仲間と一緒にチームとして勝ちたいです。」
大会当日。午前9時、『30分』の甲子園が始まります。
米子パワーズは、初回からヒットを許して先制点を奪われます。
1回裏、米子パワーズの攻撃。
松田さんが打席に向かおうとすると、友人が応援に駆けつけていました。
松田さん、人生初の甲子園の打席。
フルスイングでバットを振ります。
結果はファーストフライ。
塁に出ることは、かないませんでした。
それでも、守備につくときは全力ダッシュ。
ナイスプレーをした味方には、エールを送ります。
そして、2回裏途中で、30分が経過。
米子パワーズの甲子園での戦いが終わりました。
初めての甲子園を戦い抜いた松田さん。
スタンドでは笑顔を見せました。
松田淳一さん
「夢の舞台にこの年で立てたということは本当に感無量です。
大会の次の日から僕はもう練習です。
来年に向けて生涯野球します!」