踊りのない夏
“踊りのない夏” 廃業検討の可能性3割の衝撃

NHKニュースWEB ビジネス特集にも掲載

“毎年お盆に行われる、日本を代表する夏祭りの1つ、阿波おどり。美しくしなやかな女踊りに、豪快で躍動感あふれる男踊り。そんな「踊る阿呆」を一目見ようと、全国から大勢の「見る阿呆」が詰めかけ、徳島の街は年に1度、興奮と熱気に包まれます。ところが、この徳島市の阿波おどりが、ことしは新型コロナウイルスの影響で、戦後初めて中止となったのです。“踊りのない夏”。それは、地域経済に深刻な影を落としています。
(徳島放送局 阿波おどり取材班記者 宮原豪一 六田悠一 荻原芽生)

阿波おどり中止による経済影響 宿泊施設アンケート

阿波おどり中止による経済影響 宿泊施設アンケート

日本を代表する夏祭りの1つ、徳島市の阿波おどりがことしは新型コロナウイルスの感染拡大で、戦後初めて中止が決まりました。NHK徳島放送局と公益財団法人徳島経済研究所では、阿波おどりの中止がもたらす徳島経済への影響の全体像を浮き彫りにするとともに、今後の持続的な発展に向けた建設的な提言等に役立ててていくため、徳島市周辺の11の市と町にある166の宿泊施設を対象にしたアンケート調査を実施しました。(回答件数:64件・回答率38.6%)

《キャンセルによる損失額・ことしの予約状況》

キャンセルによる損失額・ことしの予約状況

阿波おどり中止が発表されてから寄せられた
キャンセル者数はのべ1万2628人
キャンセルによる損失額は少なくとも約2億450万円に。

キャンセルによる損失額・ことしの予約状況

例年の客室稼働率の平均・・・84%(毎年、満室になる施設も多数)⇔これに対し、今年の予約状況の平均は16.6%にとどまる。

徳島経済研究所・元木秀章 上席研究員

徳島経済研究所・元木秀章 上席研究員

2億円というのは阿波おどりの期間中という限られた期間にしては非常に大きな数字だと感じている。またお盆の時期でもあるため、宿泊単価の高い時期のキャンセルになり、宿泊施設にとってはダブルのショックになっている。阿波おどりは広い産業に関わるため、調査は氷山の一角で、地域経済への影響はより深刻になるおそれがある。

《廃業を検討する可能性》

廃業を検討する可能性があるかどうか
廃業を検討する可能性があるかどうか

3割の施設が
「廃業を検討する可能性がある」と回答。

徳島経済研究所・元木秀章 上席研究員

そのきっかけについては、半数が「新型コロナウイルスと阿波おどり中止の両方」と回答。

徳島経済研究所・元木秀章 上席研究員

徳島経済研究所・元木秀章 上席研究員

3割というのは非常に大きな数字で、結果を見て大きな衝撃を受けた。新型コロナウイルスの影響がある中で、さらに阿波踊りの時期という需要もなくなることにより、宿泊施設は“廃業”という非常に重い決断を考えざるを得ないところまで追い込まれている。廃業が相次いだ場合、感染が終息して阿波おどりを再開できたとしても、観光客を受け入れられなくなるおそれがある。来年以降を見据え、スピード感を持った対策が必要だ。

《公的支援について》

廃業を検討する可能性があるかどうか
公的支援は十分か

県や市町村による公的支援について、
8割超の施設が「不十分」と回答。

求める支援策、対策
求める支援策、対策
徳島経済研究所・元木秀章 上席研究員

※最も多いのが「阿波おどりに依存しない観光政策」次いで「県外客誘致」 ⇔マイクロツーリズムに力を入れた公的支援が多い中、「県内需要喚起」を望む声は比較的少ない。

徳島経済研究所・元木秀章 上席研究員

徳島経済研究所・元木秀章 上席研究員

“8割の施設が公的支援が不十分と感じている”という結果は、現金収入が絶たれている宿泊施設が多い中で目先の支援がまだまだ行き届いていないことを示している。主に地元の県民を対象とした宿泊補助などのマイクロツーリズムの推進策では人気の観光地や宿泊施設に需要が偏り、恩恵を受けない施設があることに注意が必要だ。小規模施設を中心に、実態を丁寧に観察し、さまざまな視点からの支援が望まれる。

《自由記述(抜粋)》

このままの状態が続くと、経営の続行は不可能となる可能性が大である。従来から経営環境が厳しい中、従前の売上に対して7割にしか戻らないとすると、中途半端な対応では2年後、3年後、生き残る企業は県外大手のチェーンホテルのみとなってしまうと考えています。

県外ナンバーの車は傷つけられるのではと言う問い合わせがあり徳島県のイメージはよくありません。収束後も悪いイメージが残り観光客が来なくなるのではと心配しております。

キャンセルの損失額はごく一部のものです。本当に先が見えず不安な毎日です。

『県内の人に限り、宿泊料金を割り引く』といった助成もあるようですが、これは『風光明媚な立地や温泉がある。または普段は敷居が高い高級リゾートホテル』などには有効であると思いますが、当方のような街中の小さな宿ではそれもあまり期待できないと思われます。

県は県外客をシャットアウトするのであれば休業要請を出しそれに対してしっかりと支援するべきだと思う。

今年の阿波おどりが中止となりましたが、それらに替わる集客イベントが必要だ。これをきっかけに従来の阿波おどりを見直し、全県下で年間を通じて集客できる、楽しめる、参加できるイベントに形を変えていく検討も必要と思います。

特に徳島県は県外ナンバーへの差別について全国ニュースとなってしまい、イメージが悪化しています。差別を受けていながらも戦っている医療従事者に対してキャンペーンを企画すれば今度は良いイメージを全国に発信できます。

そろそろ考えていた閉店が早まりそうです。

コロナウイルスを恐れてなにもできないというのではなく供に共存できるように今できる事を国や県の給付金や融資を活用していこうと思っています。

【調査結果概要】

  • 回答先所在地
  • 客室規模、収容規模
  • 収容規模