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【なぜ?】徳島・大浜海岸でウミガメの上陸が減った原因とは

  • 2024年06月06日

アカウミガメの産卵地として国の天然記念物に指定されている「徳島県美波町の大浜海岸」。
去年の産卵シーズン(5月20日~8月20日の保護期間)は上陸が確認されませんでした。
その理由を海岸近くのうみがめ博物館館長に聞きました。

今回お話を聞かせて下さったのは、日和佐うみがめ博物館カレッタ館長の平手康市さんです。

水産学科の大学生だった頃 ウミガメに接したのをきっかけに生態調査などに長年携わっています。
NPO法人日本ウミガメ協議会の副会長でもあります。

ウミガメの現状

去年大浜海岸では 1頭もアカウミガメが上陸しませんでしたが、全国の産卵地でも同じような状況なんでしょうか。

全国の産卵地では増えたり減ったりを繰り返しながら、徐々に減っているような状況です。

その中で大浜海岸では周期的な増減がほとんど見えずに、一方的にどんどん減ってしまう状況がずっと長く続いています。

それを裏付けるデータがこちらです。

ウミガメの上陸数の年ごとの移り変わりをみると、上陸地として知られるほかの場所に比べて大浜海岸だけがほぼ右肩下がりです

関係者の中では象徴的な言葉もきかれるそうですね。

徳島一人負けという言われ方をしてしまうんですよ。
非常に悔しいんですが、的確な言い方です。
徳島だけ特徴的に少ないということは徳島の産卵場に固有の原因があるんじゃないかと考えています。

原因は街の明かり?

原因について大浜海岸そのものではなく、海岸近くにある「街の明かり」にあるのではと平手さんは考えています。

大浜海岸は、夜は皆さんの努力ですごく暗く静かになっています。
ウミガメが産卵をするにも、環境としてそんなに悪くはありません。
ただ気になったのは その砂浜の後ろに広がる背景がどうも明るいこと。
これはほかの産卵場と違って、この日和佐の大浜海岸に特有な問題です。
ここほどウミガメの産卵地と人の生活が近いところはないんです。

平手さんが撮られた大浜海岸周辺の写真です。
2枚とも同じところから撮っています。

昼の大浜海岸周辺
夜の大浜海岸周辺

同じところから見た2枚の写真、この写真からどんなことが分かるんですか?

昼間の写真を見ると、非常にのどかな風景ですごくいい場所だと思いますが、一転、夜になると どうしても街の生活に必要な光が存在していてその光が空を明るくしています
正面に見える大浜海岸の後ろ側に薄ぼんやりと見えるゾーンがあるんですね。
これが上陸しようとするウミガメを迷わす、惑わす要因になってるんじゃないかと考えています。

海外各地の産卵場において、例えば人工的な光が入ると、産卵上陸数が激減するという情報があるんです。

明かりを減らす試み

先月からは街の明かりを減らす1つの試みが始まりました。
四国霊場23番札所・薬王寺の瑜祇塔(ゆぎとう)のライトアップはウミガメに配慮して午後9時になると消されます。

ライトアップ時
消灯時

また海岸からおよそ100メートルのところにある街灯。
夜は明かりがともっています。

しかし、海の方からみますと明るさをあまり感じません。      

これは、明かりがもれないように街灯の海側の一部を覆っており、去年から取り組みを始めました。

矢印部分の黒いところが覆いです

人とウミガメの共存し続ける生活を

人の生活エリアには夜 照明が必要です。真っ暗では人の生活はなりたちません。防犯上とか安全上の問題も出てきます。必要な所だけに光を当てればいいのであって、地域の住民の方たちや行政と相談しながら、可能なところに手を付けたらいいなと思っています。

大浜海岸を背景にインタビュー

日和佐は多くの方がご存知のようにウミガメの街と言われていて、昔から人とウミガメがうまく共存してきた場所なんですね。
なので 人とウミガメともに同じ環境を利用して後世まで生き続けていく、共存し続ける生活を残したいと思っています。

徳島県内2年ぶりの産卵が確認されるか期待ですね。

  • 安田 真一郎

    徳島局 アナウンサー

    安田 真一郎

    以前に、町全体でウミガメを大事にしている美波町日和佐の皆さんを描いた文学作品を朗読したことがあり、町とウミガメの結びつきの強さを感じました。ことしは1頭でも多くのウミガメが産卵するといいですね。

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