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徳島大 歯×AIで身元確認の最新技術 南海トラフ巨大地震に備え

  • 2024年04月26日

南海トラフ巨大地震で想定される犠牲者は3万人超(推計)。身元の特定が進まない可能性があるため、徳島大学はAI(人工知能)を取り入れて、歯の治療痕などから身元を特定する研究をしています。遺体を少しでも早く家族の元に返そうという研究の現場に迫りました。

遺体の身元 「歯」で特定

身元特定の研修会に歯科医師や警察官が参加(2023年11月・京都市)

13年前の東日本大震災では、多くの遺体の身元が所持品や体の特徴から特定されましたが、所持品や特徴から特定できなかった場合、歯の治療記録との照合が有効な手段となりました。当時、全国の歯科医師が被災地に駆けつけ、安置所で警察と協力して身元の確認作業をしました。その際、歯科医師が記入したのが「デンタルチャート」です。

デンタルチャートとは?

デンタルチャート

デンタルチャートは、被災地で歯科医師などが遺体の口の中を見ながら、虫歯や治療痕、歯の欠損などを1つ1つ記入していく専門の用紙です。記入後、生前の治療記録と照合し、身元を特定します。

歯による身元特定は有効な手がかりである一方、東日本大震災では課題も浮き彫りとなりました。

徳島大学専門研究員  高野栄之 歯科医師

徳島大学の専門研究員・高野栄之さん(歯科医師)は、5年前から災害時の歯による身元確認を研究しています。

高野栄之 歯科医師

東日本大震災では、デンタルチャートの様式や書き方が地域や組織によって違うため、現場の混乱を招くこともあった。また、手書きで記入するため、慣れていないと1枚のデンタルチャートを作成するのに時間を要する。南海トラフ巨大地震が発生した場合、徳島県だけでも多くの犠牲者が出る中、なかなか作業が進まないのではないかと懸念している。

AIでデンタルチャートを作成

ことしからこうした課題をAIで解決する研究を始めました。
開発しているシステムは、まず、AIに虫歯や治療の痕などさまざまなパターンを学習させます。

学習させたAIは、口の中の写真を読み取るだけで、歯科医師が作るようなデンタルチャートを自動で作ることができるようになります。従来は30分~40分かかった作業が、AIなら5分~10分でできると期待されています。

AIによるデンタルチャート作成のイメージ

開発には、AIに詳しい大阪大学や、東日本大震災の経験がある東北大学も参加。
被災地で口の中の写真を撮影し、遠隔地でデンタルチャートを作成して身元を特定することを目指しています。

3大学が連携するシステム
高野栄之 歯科医師

ことし1月の能登半島地震でもそうだったが、大勢が一気に被災地に入るわけにもいかない。一方で、作業を進めていかなければならない。そういった時に、ほかの県と連携して、遠隔で支援できるようなことを進めていくのが非常に有用かなと考えています。

「被災者や被災地を支援したい」

徳島大学などは来年度までにシステムの完成を目指していて、いまは、AIに人の歯の情報を学習させる作業に追われています。
高野さんはより多くの遺体の身元を迅速に特定することが、残された家族や被災地の支援につながると考えています。

徳島大学専門研究員 高野栄之 歯科医師

家族の「消息を知りたい」という思いに貢献できるとともに、早く身元を特定することによって残された遺族の心労が軽減できるのではないか。遺族が次のことを考えられるきっかけになったり、社会も混乱が早期に収束することによって、次の復興に生み出せるということにもつながったりするのかなと考えている。

  • 能智春花

    徳島局 記者

    能智春花

    2012年入局 大分局、長崎局、国際放送局、国際部を経て現所属 

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