J1復帰に向け ストライカーに期待! 徳島ヴォルティス
- 2024年02月09日
4シーズンぶりのJ1復帰を目指す徳島ヴォルティス。昨シーズン、リーグ17位だった「得点」をどう積み上げていくのか。2月25日(日)の開幕戦を前に、期待のストライカーについて、宮崎キャンプを取材した下境秀幸アナウンサーが伝える。
昨シーズンの課題「得点力」
徳島ヴォルティスが昨シーズンに記録した不名誉な数字があります。1試合平均1.02点。得点力不足によってきっ抗した試合で何度も勝ち点をとりこぼし、得点は22チーム中17位に終わりました。
昨シーズンの総得点43ゴールの内訳を見ると、多い順に13ゴールの森海渡選手(今季は横浜FC)、7ゴールの柿谷曜一朗選手、3ゴールが3人で安部崇士選手(今季はモンテディオ山形)・西谷和希選手・西野太陽選手などとなりました。最大の得点源だった森海渡選手が移籍し、どのように得点力アップを図るのかが問われるシーズンとなります。
得点力は、もちろんチーム全体で高めていくものですが、フィニッシュに関わるストライカーの役割は小さくありません。そこで新たな得点源となる可能性を秘めた3人のストライカーを見ていきます。
圧倒的なスピードが魅力 ブラウン ノア 賢信選手
その1人、J3での実績を評価されヴォルティスに移籍したブラウン ノア 賢信選手です。横浜F・マリノスの育成組織で育ち、年代別の日本代表に選ばれてきました。昨シーズン、J3の沼津で自身キャリアハイとなる13得点を挙げました。
身長1メートル89センチで、近くで見ると高さに圧倒されます。しかしブラウン選手の最大の特長は「スピード」です。
抜群のスピードを見せたのは、宮崎キャンプ中に行われたJ1鹿島アントラーズとの練習試合の得点シーンでした。
ヴォルティスが相手からボールを奪うと、ブラウン選手は左サイド、鹿島のディフェンスラインの背後に圧倒的なスピードで抜け出します。スルーパスを受けてさらに相手選手をスピードでかわし、中央に折り返しのパス。これが相手のオウンゴールを誘い、ヴォルティスが宮崎キャンプでの初ゴールを奪いました。
ブラウン選手
(得点につながる)あのシーンは出せ出せって結構要求したので、出してもらいました。背後の抜け出しだったり縦への仕掛けというのは僕の武器なので、もっともっと数を増やしていきたいなと思います。
(今季の目標は)2桁得点取って、J1昇格することです。
新天地でチームメイトに要求することで、連係を高めようとしているブラウン選手。J2で2桁得点なるか注目です。
豪快なシュート 味方を生かすFW 渡大生選手
そして並々ならぬ決意で新たなシーズンへスタートを切ったのが、渡大生選手です。
昨シーズンは32試合に出場してわずか1ゴールにとどまり、復帰した古巣のヴォルティスでなかなか結果を残せませんでした。かつてヴォルティスに在籍した2017シーズンに23ゴール取った実績を踏まえると、満足のいくシーズンではありませんでした。
渡選手の特長は、豪快なシュート。見る者を魅了するゴールシーンを生み出します。昨シーズン唯一のゴールもスーパーゴールでした。8月にアウェーで行われた栃木戦で、コーナーキックの流れから、敵陣のペナルティーエリアで体を反転させ、左足のボレーシュート。試合終了間際の同点ゴールで、劇的な引き分けに持ち込みました。なかなか勝てない苦しい状況にある中、チームが浮上のきっかけをつかむゴールにもなりました。
宮崎キャンプでも、鹿島との練習試合の1本目に先発出場しました。オフサイドになったものの、左サイドからのクロスに反応。豪快な左足のシュートでネットを揺らし、復活を期待させる動きを見せました。渡選手はポストプレーも得意で、味方と関わりながらチャンスを作るタイプです。前戦で守備のスイッチを入れる役割も担うなど、得点以外でもチームに貢献できるFWです。
独特の世界観を持っているのも渡選手の魅力です。宮崎キャンプ中、NHK徳島の県域ニュース情報番組「とく6徳島」に生出演した際には、「今シーズンの目標・どんなプレーをしたいか」という質問に「僕が僕であるために!」と回答してくれました。
渡選手
去年、チームも自分自身も、負けた数が多かったので、僕が僕であるためには、勝ち続けることで証明になると思うし、そうやって勝ち続けてきた人が、今こうやってプロの世界でやっているんで、自分はまだまだもっと勝ち続けないといけないし、それがチームにもつながると思っているんで、僕が僕であるために、ことしは勝ち続けたいなと思っています。
往年の名曲を思い起こさせる、渡選手ならではの表現で「勝利への執念」を語りました。勝利のためピッチで見せる、がむしゃらで献身的な姿は今シーズンもチームメイトに勇気を与えてくれるはずです。
輝くゴール前のスキル 飛躍の2年目に! 棚橋尭士選手
国士舘大学出身、2年目のFW 棚橋尭士選手にとっては、飛躍を期するシーズンとなります。
ルーキーイヤーの昨シーズンはけがで出遅れ、Jリーグデビューは5月でした。22試合に出場し、2ゴールにとどまり、これまでの道のりを踏まえると、いっそうの活躍を期待せずにはいられません。10代の頃、年代別日本代表チームでは現在、日本代表の久保建英選手とともにプレーし、AFC U-16選手権ではハットトリック(1試合3点)を決めるなど大活躍し、将来を嘱望されました。
棚橋選手の持ち味は、確かなシュート技術です。ゴール前の最終局面では、左右の足で難しいシュートも決めてみせます。前への推進力も魅力で、昨シーズンはDFとの1対1をスピードとステップで見事にかわしゴールも奪いました。
宮崎キャンプで取材した時には、主に「トップ下」の位置でプレーしていました。中央のボールタッチの多いポジションは、棚橋選手の足元の技術を生かせる立ち位置です。相手のプレッシャーが激しいポジションですが、高い技術を生かしてラストパスやフィニッシュに関わることが期待されます。
棚橋選手
去年は早い段階で離脱してしまって、それがけっこう響いてしまったので、まずはけがしないというところは意識して、オフシーズンの体づくりもしていました。楽しくサッカーができていると思います。
昇格争いのチームに貢献するというところで、ゴールだったり数字という部分、あとは献身性というところは意識してやっていきたいと思います。
2桁(ゴール)というところは意識していますし、もちろん2桁以上取れればベストかなと思います。
指揮官が求める「攻撃のスピード」
昨シーズン途中、8月下旬に監督に就任し、今シーズンも指揮をとる吉田達磨監督がキャンプ中に選手に求めたのは「攻撃のスピード」です。ボールを大事にしながらパスをつないで攻撃する部分は、ヴォルティスの武器として大事にしつつ、スピード感のある攻撃を増やし、相手の守備が整う前に攻める回数を増やしていこうとしています。
吉田監督
得点を取るのは本当に1人の選手が最後に取るわけで、すごい選手がいるとか、そういう簡単な方法もあると思いますけれども、 僕たちはあくまで、そこに頼らず、全員でゴールを目指す回数を増やして、トレーニング、試合を通じて、その質を上げていくというところで取り組んでいますから、そこに向けてより早く、より確率の高い状態というのは、相手が整っていない状態ということですから、そこにたどり着けるようにやり続けたいなと思っています。
スピードのある攻撃には、選手同士の共通認識、イメージの共有、味方の特徴の理解、正確な判断力、持続可能なスプリント・・・。様々な要素が欠かせません。選手間の連係を深め、ブラッシュアップしていってほしいです。
そして、最後に決めきる仕事を担うは、やはりストライカーです。今回とりあげた選手以外にも、シュートの積極性の光る坪井清志郎選手、サイドバックからフィニッシュに絡む西野太陽選手、そして今シーズンも大黒柱として期待がかかる柿谷曜一朗選手など、FWがそろっています。得点力を改善し、勝ち点3を手にする試合を増やせるのか。開幕が楽しみです。
アディショナルタイム
この記事の「アディショナルタイム」として、写真をご紹介します。ことしの宮崎キャンプでも、NHK徳島「とく6徳島」に、ヴォルティスの選手に生出演していただきました。選手に「今シーズンの目標・どんなプレーをしたいか」を書いてもらい、個性や人柄あふれる回答をいただきました。選手の皆さん、改めて、どうもありがとうございました。
ヴォルティス2週連続生中継!
NHK徳島では、開幕戦と第2節を生中継!
2月25日(日)
午後1時55分~ 総合📺(徳島/山梨県域)
J2リーグ2024 第1節
徳島ヴォルティス 対 ヴァンフォーレ甲府
3月2日(土)
午後3時05分~ 総合📺(徳島/鹿児島県域)
J2リーグ2024 第2節
鹿児島ユナイテッド 対 徳島ヴォルティス
開幕戦の解説は
サッカージャーナリストの小澤一郎さん✨
開幕戦・第2戦はNHK徳島でヴォルティスを応援しましょう!