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「味覚の授業」を知っていますか?

  • 2023年12月07日

甘味、塩味など、私たちが食べているときに感じる「味覚」。子どものときの食生活が大きく影響するといわれています。「味覚」を学ぶ重要性とは?

「味覚」について学ぶ授業

「みなさん、これはどんな味だと思いますか?」

先月、徳島市内で親子で「味覚」について学ぶ授業がおこなわれました。

講師は、東京の有名ホテルで料理長を務めた経験もある
フランス人シェフのドミニク・コルビさん。

ドミニク・コルビさん
すだち・なると金時・しいたけ

授業で使われるのは、すだち、なると金時、しいたけなど、徳島を代表する食材です。
こうした食材をどれかわからない状態で試食してもらい、それぞれ味覚を構成する「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」のいわゆる「五味」のどれにあてはまるか、参加者に答えてもらいます。

どの食材かわからない状態で試食
甘み?
うまみ?

コルビさんによると、子どものころに食べた味の記憶が、味覚の基礎となり、偏った食生活をしていると、大人になったときに感じとれる味覚が少なくなるそうです。
味覚を育むには、子どものうちから、さまざまな味を知り、「五味」を意識した食生活を送ることが重要なのだそうです。

だしとか、食材そのものの甘みとか苦味でも、子どもには食べさせてほしいです。

こうした授業、「美食の国」として知られるフランスで、30年以上前から行われています。
生活習慣の変化などから、子どもたちを取り巻く食生活の乱れに危機感を覚えた人たちが、子どもたちに、味覚の大切さや自国の食文化をきちんと伝えようと始めたのが、きっかけでした。

フランスの「味覚の一週間」

日本でも10年ほど前から行われていて、今回、徳島での開催を企画したのが、徳島市内に住むボントゥ・夢子さんです。 

ボントゥ・夢子さん
フランス料理を学ぶ

フランスで料理を学び、都内のフランス料理店で働いているときに、この取り組みを知ったボントゥさん。
みずから子育てをしていくなかで、あらためて子どもの味覚の大切さに気づかされ、徳島での開催を企画しました。保護者にこそ味覚についてきちんと知ってほしいと、親子で参加する形にしました。

ボントゥさん

ご飯をお家に帰って提供してくれるのって親御さんであったり、提供してくれる人がいて成り立つものなので、やっぱり親子一緒に体験に来ていただいて、親御さんにも直接話せるっていうのは、一番いいんじゃないかなと。

参加した保護者からも、あらためて子どもの食について、その重要性に気づかされたという声が聞かれました。

保護者

味覚が子どものときに作られるとか、大人になってから作るのはちょっと難しいだとか、そういうのをあらためて知ったので、今のうちに子どもたちにもいろんな味を、おいしいものを食べさせようというのは、勉強になりました。

ふだん口にしている食材について知る

授業のあと、参加者たちは、徳島市八万町にあるしいたけ農園に移動しました。「菌床しいたけ」は、徳島が生産量全国1位を誇っています。

菌床しいたけ

農園の代表の秋田昌也さんから、しいたけの栽培について話を聞いたあと、その収穫に挑戦しました。
しいたけが栽培されている様子を見るのも、収穫するのも初めての子どもたち。最初は苦戦しながらも、秋田さんにそのコツを学びながら、収穫していきました。

しいたけの収穫を体験

生産者の話を聞いたり、生産現場で食材に直接見たり、触れたりすることで、ふだん食べている食材への理解を深めること、これも味覚の授業のねらいのひとつです。

参加者

しいたけとかってスーパーとかお鍋とかにもよく入っている身近な食材だけど、あんな風に菌床とかそういうのから出てきて、一つ一つ丁寧に収穫して梱包とかして私たちの口に届いているっていうのを知って、食材とか、食っていうのは大切なんだと知りました。

ボントゥさん

実際にしいたけとか食材に触って収穫するっていうので、目もキラキラしていたので、本当によかったんじゃないかなと思います。
(こうした取り組みを)県内、できたら四国に広めていけたらなと思っています。

子どもたちの味覚を育み、食材についての理解を深める。「味覚の授業」から、子どもたちの健康だけでなく、地域の特性や文化そのものの理解など、いろいろな可能性が広がっていきます。

※12月22日に記事を一部更新しました。

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