ページの本文へ

徳島WEB特集

  1. NHK徳島
  2. 徳島WEB特集
  3. 徳島県の人口 戦後初の70万人割れ 止まらない少子化の影響は

徳島県の人口 戦後初の70万人割れ 止まらない少子化の影響は

  • 2023年05月12日

戦後初 県人口70万人割れ

徳島県の人口が4月1日現在の推計で69万7733人になり、70万人を下回ったことがわかりました。
昭和31年に88万人近くだったのが、平成20年に80万人を割り込み、ついに戦後初めて70万人以下に。

徳島県では亡くなる人の数が子どもの出生数を上回る「自然減」が拡大する一方、就職や進学で県外に転出する人が県内に転入する人を上回る「社会減」も同時に進んでいます。 

人口減少は日本全体の問題ですが、徳島県では減少のスピードがいっそう顕著です。

 減り続ける出生数

徳島県の人口減少の大きな要因が少子化です。
地域で子どもが減り続けている影響が各所で現れています。

徳島市民病院の産婦人科医・福井理仁さんは30年以上にわたり新生児の出産に立ち会ってきました。
徳島で急速に進む少子化を肌で感じています。
 

徳島市民病院 福井理仁 医師

徳島市民病院 福井理仁 医師 
「もう全然違いますね。例えばこの病院で言えば、現在の年間の分娩数が500ぐらいです。35年前、私がこの病院にお世話になった頃は年間1200人ぐらい生まれていましたが、それぐらい減っています」

徳島県の年間出生数の推移

徳島県の出生数の推移をグラフにすると、減少傾向がひと目でわかります。 

統計に残る昭和30年以降では、出生数は昭和31年に年間約1万7千人いましたが、その後は減少傾向が続きます。

昭和59年に1万人を下回り、去年・令和4年は4161人。
この40年で半分以下に落ち込んでいるのです。 

失われていく地域のお産施設

出生数の減少に伴い、お産に対応する産婦人科も減り続けています。
現在、徳島県内で出産できる医療機関は14になっています。

急なお産に備えるためには、専門の医師や助産師が24時間態勢で警戒しなくてはなりません。
その分、医療機関にとって経営的な負担が大きく、お産に対応した医療体制を維持するのが難しくなっているのです。

今後さらに出生数が減ると、お産に対応してくれる医療機関ももっと限られるという事態になりかねません。
福井医師は、「お産をやる病院が減ることで“お産難民”が出てくるおそれすらある」と心配しています。 

部活動の部員が足りない学校も

 急速に進む少子化は、学校の部活動にも影を落としています。

 県南部、美波町の由岐中学校の野球部は部員がわずか3人。
 単独では試合ができないため、4年前から隣の日和佐中学校と合同チームを組んでいます。
 練習も自分たちだけではままならないため、日和佐まで行って練習に参加しています。

美波町立由岐中学校野球部の練習の様子

練習のある日は10キロほど離れた日和佐中学校まで移動しますが、スケジュールが合わない日は、やむをえず3人だけで練習します。
それだと、ノックやキャッチボールなど、少人数でもできる練習メニューに限られてしまいます。

好きな野球を思う存分できないもどかしさを感じているようでした。

野球部員の2年生

野球部員の2年生 
「由岐で練習すると、ほぼすることがない。日和佐だったら人数が多いのでやることがいっぱいある。日和佐に行ってちゃんと練習したい」

また、公共交通も少ない美波町で、離れた練習場所まで子どもたちを送迎する移動手段をどう確保するかも悩みです。

野球部顧問の大瀧達也教諭も「送迎する保護者の都合がつかないときもあるので、そういうときはJRやバスなど、いろんな交通機関を使いながら、日和佐中学校まで届けないといけないので難しい。スクールバスとか移動手段の確保が大事なのかなと思います」と話していました。

こうした少子化の影響がみられるのは美波町だけではありません。

徳島県では平成15年から、中学校の公式大会に複数の学校による合同チームの参加が認められるようになりました。
以降、合同チームが年々増え、人口が最も多い徳島市でも合同チームを組まざるを得ない地域が出てきています。

子どもが減り、かつては当たり前だった学校ごとに部活動を続けるのが年々難しくなっているのです。

 少子化は若者の県外流出で加速

地域人口の分析に詳しい国立社会保障・人口問題研究所人口構造研究部の小池司朗部長は、 徳島県の急速な少子化は、若者の県外流出が大きな要因になっていると分析しています。

国立社会保障・人口問題研究所人口構造研究部 小池司朗 部長

国立社会保障・人口問題研究所人口構造研究部
小池司朗 部長
「徳島県は県内から県外に人が出ていく傾向にあります。その人たちが仮に県内にとどまっていれば、県内で生まれたはずの人口が、若い人が出ていくことによって県外で出生するという場合が増えている。出生率の低迷と若い人の県外流出。この2つの要因によって出生数の減少が加速している。非大都市圏に属する地域は基本的に同じような人口の動きをたどっているが、徳島県はその中でもやや人口減少が大きい方ではないかと思います」

人口の急激な減少によって地域の活力が失われるとともに、働き手が減ることで地域経済にも深刻な影響が懸念されます。

人口が減るペースを少しでも落とすための対策が必要だと小池部長は指摘しています。

小池司朗 部長
「若い人がいなくなることによって、病院の職員や商店の経営者などが地域からいなくなってしまう。人口減少が加速していって地域社会が崩壊するということになりかねません。 そういったことを防ぐために少しでも人口減少の程度を緩やかにしていくことが今後重要になってくる。その1つの方策として、若年人口の転出超過を防がないといけない。そのためには特に東京圏からの転入を拡大するという方向が望ましい。 東京生まれ東京育ち、大阪圏生まれ大阪圏育ちという人の割合が非常に増えているので、 そもそも徳島県のことをよく知らないという人が増えているんじゃないかと思います。 そこで、いかに徳島県の魅力をアピールしていくかということが今後ますます重要になってくると思います」

取材後記

今回、人口減少をテーマに徳島県内外の教育・医療の関係者や専門家に取材しました。 地域から子どもが減り、住む人が減っていくことを日々実感しつつ、仕方のないことだと淡々と受け止める声もあれば、人が減っていく中で新たな地域社会のあり方を考えるべきという意見など、考え方はさまざまでした。 人口減少は個人の人生観や経済環境なども関わる日本全体の問題で、いち地域だけで解決できる問題ではありません。それでも、私たちの暮らしや社会を守るため、地域でできることを考え続けることが大切だと強く感じています。

 

あわせて読みたい

徳島県の推計人口 戦後初の70万人割れ

  • 安藤麻那

    徳島放送局

    安藤麻那

    徳島が初任地
    2年前に地元の愛知県から転入
    県政を担当

ページトップに戻る