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徳島防災シリーズ「南海トラフ巨大地震に備える 研究の現場」

  • 2023年03月06日

30年以内に70~80%と、高い確率での発生が懸念されている「南海トラフ巨大地震」。徳島県は、マグニチュード9の巨大地震が起きた場合、県内の死者は3万1300人(86%の2万6900人が津波の被害)、全壊する建物は11万6400棟と想定しています。
県内の研究者たちが取り組む防災研究の最前線です。

3480とおりの津波を分析 どこが浸水しやすい?

徳島大学大学院の馬場俊孝教授は、津波の浸水に備えるため、高い確率で浸水する地域を割り出しました。

そのために用いたのが、国の「防災科学技術研究所」が公表している南海トラフ地震のモデル、実に3480とおりです。震源の位置や地震の規模が異なる3480とおりのモデル、1つ1つで浸水が想定される場所の地図を作成し、重ね合わせていきました。

完成したのがこのマップ。

3480とおりの中で浸水が想定される回数が多かった地域ほど、赤く描かれています。徳島市に張り巡らされた川の周辺では、内陸でも、浸水する確率が高い場所があることがわかりました。

馬場教授は「津波は一般に、海の方の浸水がひどいイメージがあると思うが、川沿いの奥まった場所でも赤く示され、津波が川から入ってきて浸水する危険があることを示している」と指摘します。

浸水の確率が高い場所がわかれば、堤防を優先的に整備するなど、将来の街作りに役立てることも期待されます。馬場教授は、過去の長い期間に渡る津波の頻度について調査を進めるとともに、徳島県の担当者とマップを共有するなどして、防災をハード面からより強化していくことを考えています。

災害時の車いすの避難を知って!

災害時、車いすを利用する人たちの素早い避難を研究しているのが、徳島文理大学の柳澤幸夫教授です。

津波が迫っているときは、建物の上の階に避難する「垂直避難」が有効です。しかし、災害時、エレベーターの利用は推奨されていないため、本人を抱えて避難するか、車いすごと避難するしかなく、サポートには力が必要です。

そこで、柳澤教授は、車いすに乗った人を車いすごと持ち上げるには、どこに負荷がかかるのか、そのメカニズムを科学的に調べました。

その結果、意外なことがわかりました。

平らな地面で車いすを前後に傾けずに持ち上げると、前より後ろを持ち上げるほうが大きな力が必要です。

ところが、車いすを30度から40度傾けて階段を上がると、後ろより前を持ち上げるほうが3割ほど大きな力が必要になることがわかりました。

このため、柳澤教授は、車いすの垂直避難をサポートする場合は、力のある人を前方に配置して持ち上げるほうが、より素早い避難につながると指摘しています。柳澤教授は、「車いすに乗っている方、支援される側の方も、安心して任せられることにもつながると思うので、検証を進めたい」と話し、今後は、サポートの仕方のガイドラインづくりを視野に、研究を進めることにしています。

東日本大震災からことしで12年がたちました。
災害はいつ起きるかわかりません。
研究の成果を生かして、着実に対策を進めていくことが求められています。

  • 平安 大祐

    徳島局・記者

    平安 大祐

    2019年入局
    スポーツ・防災を担当
    サッカーやバスケ観戦が週末の楽しみ

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