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毎日を全力で 若き指揮官が求めること

  • 2023年02月01日

元日本代表の柿谷曜一朗選手を獲得し、サポーターを驚かせた徳島ヴォルティス。今シーズンのJ1昇格を託されたのは、監督初経験のスペイン出身の35歳です。新たな指揮官が選手たちに求めたのは、毎日の練習やトレーニングで全力を尽くすという、サッカーと向き合う姿勢でした。

「素晴らしいことを成し遂げられる」

昨シーズン、最終戦に敗れJ1参入プレーオフを逃したヴォルティス。チームをさらに成長させるため新監督に抜擢されたのが、スペイン出身のベニャート・ラバイン監督(35)だ。久保建英選手が所属するスペインの強豪、レアルソシエダードでチーフアナリストを務めていたが、監督としてチームを率いるのは徳島が初めてだという。J1昇格を託された若き指揮官に1月の宮崎キャンプで話を聞くことができた。

Q.スペインの強豪クラブから徳島に来た理由は何ですか。

A.監督としてのオファーを徳島から頂いて、自分のキャリアの中で監督になるという夢があったので、その第一歩ということで来ることに決めました。

Q.第一歩となるキャンプを迎えてどのような気持ちですか。

A.非常に満足しています。本当にすばらしいクラブに来ることができたということも、ここ数日ですごく実感していますし、みんなの働きぶりでも実感しています。自分も日本の文化に慣れていくという意味で、キャンプもすごく役に立っています。

Q.レアルソシエダードでの分析担当は、これからの監督の仕事にどう生きてきますか。

A.4年間レアルソシエダードという、すばらしいクラブで働いていましたし、イマノルという本当にすばらしい監督と仕事をした経験があります。徳島ではその経験を生かして、すばらしいことを成し遂げられるのではないかというふうに感じています。

「速く攻めにいく」

ヴォルティスは2020年にJ2優勝を成し遂げたリカルド・ロドリゲス氏、そして昨シーズンまで指揮したダニエル・ポヤトス氏と、過去6シーズンをスペイン出身監督が指揮し、ボールを保持して試合を優位に進める“スペイン流”のサッカーを築いてきた。しかし昨シーズンは全42試合の半分以上にあたる23引き分けというJ2最多記録を更新し、ボールを保持していても点をとりきれない試合が目立った。ラバイン監督はそんなチームに速い攻撃を植え付けたいと話す。

Q.スペイン出身監督が続いている徳島には、スペインサッカーのベースがあると思いますが、そこにどんなことを加えていきますか。

A.本当に6年間スペインのスタイルで築き上げたものというのは徳島に実際にあるので、いいものを継続しながら、自分はそこにエッセンスとして本当にボールを持っているときに選手のみんなが楽しめるようなフットボールを展開したい。それだけではなく、どのようにゴールに迫っていくかなど、試合に勝つという目的から逆算したものを与えていきたいなと思っています。

Q.昨シーズンもボールをつなぐことはできていましたが、キャンプの練習試合を見ると、それだけはなく、いろいろな攻撃のバリエーションがあるように感じました。

A.ボールを保持するのはゲームの主導権を握る上でも非常に重要な要素ですが、やはりスペースが空いていたり攻撃するチャンスがあったりするなら、そこを判断して速く攻めにいくことも選手自身が判断しなければいけない。そういうふうに要求しています。

ボールを保持するだけでなく、ときに速攻を織り交ぜるサッカーのレアルソシエダードで経験を積んだラバイン監督。キャンプを取材したサッカージャーナリストも、今シーズンの徳島はスピード感のある攻撃が増えるのではないかと期待する。

スペインのサッカーに詳しい
サッカージャーナリスト 小澤一郎氏

「スペインサッカーというと丁寧にショートバスで敵陣、あるいはゴールを狙っていくイメージが多い。しかしラバイン監督はその中でもレアルソシエダードという脱スペインサッカーのチームから来ているので、とにかく攻守の切り替えを激しくして、ゴールを奪えるならパスを10本つなぐよりも1本でゴールまでいって奪ってしまえばいいというのが監督の考えだと思う」

【期待の攻撃陣】

新たな指揮官の目指すサッカーは、クラブの強化方針にも表れている。今シーズン、新加入の選手13人のうち6人がフォワードで、攻撃陣の補強に重点を置いた。12年ぶりの徳島復帰となった元日本代表の柿谷曜一朗選手や、かつて徳島でシーズン23得点をマークした渡大生選手など、攻撃陣が厚みを増した。

柿谷選手はキャンプ中から攻撃の中心としてチャンスメークの多くを担い、確かな足元の技術と創造性のあるプレーを周囲に印象づけた。サッカージャーナリストの小澤氏も柿谷選手のプレーが徳島浮上の鍵を握ると話す。

(サッカージャーナリスト 小澤一郎 氏)
「ポジション的にヴォルティスが練習していた4―4―2の中盤のトップ下でいうと、やはり柿谷選手に期待したい。速いサッカーをしたとき、やっぱりトップ下でしっかりとボールをおさめられる技術力の高さが求められるので、柿谷選手のようなスーパーな選手が必要かなと思う。柿谷選手はボールをさばいてスルーパスを出すだけでなく、よりゴールに近い距離でもプレーすると思うので得点力にも期待できる」

「毎日を全力で」

2月の開幕に向けた最終調整の場となる宮崎キャンプで、ラバイン監督は攻守の素早い切り替えや球際の激しさを求め、ときには選手が倒れ込むほどハードなメニューを行った。
監督はJ1昇格以前に、選手たちが日々全力でプレーすることが何より重要だと語る。

Q.徳島の日本人選手たちを見て率直にどう感じましたか。

A.初日からいろいろな人に言っていますが、本当に技術的に能力が高い人たちがすごくそろっていると感じました。徳島の選手で自分が印象的だったのはゴールへの飢えだったり、アグレッシブにペナルティーエリア内に侵入していく姿勢だったり、そういったものにすごくいい印象を受けています。もちろん徳島選手だけじゃなくて、Jリーグのほかのクラブの選手たちを見ていても、本当にすばらしい選手たちがそろっていて、自分自身も吸収できること、学ぶことが非常に多いのではないかなと感じています。

Q.日本の選手の勤勉さやハードワークは、監督にとって重要なことになりますか。

A.本当にそのとおりです。そういった日本人のすばらしい部分の特性を生かした上で、自分のスタイルを見つけたいなと。それを生かしながら自分のエッセンスを加えるというのが今の目標です。

Q.開幕に向けて意気込みを聞かせてください。

A.もちろん昇格ということが非常に重要な目標でもあるのですが、それをずっと言い続けるようなことは自分はしたくない。やっぱり日々のハードトレーニング、ハードワークがなければ、その目標はかなわないと思っているので、毎日全力でやり続けることを選手たちに求めていきたいです。

Q.サポーターへのメッセージを。

A.自分が徳島に着いた日から本当に多くの愛情を注いでくれてありがとうございます。そういったものを非常に感じています。自分自身も皆さんのように、ことしのチームに来てくれた選手、今所属している選手たちに非常に期待していますし、安心しています。選手たちが応援に来てくれたみなさんをきっと楽しませてくれることを約束できると思います。いい時も悪い時もあると思いますが、スタジアムに多くの人が詰めかけて自分たちを後押ししてほしいと思っています。

【取材後記】

「日々のハードワークがなければ目標はかなわない」と語るラバイン監督。1つ1つの言葉に強い意志を感じさせる指揮官の姿勢は、強度の高いキャンプのメニューを見てもよく分かる。勝ちきれない試合が多かった昨シーズンを経て、2月からどんなサッカーを見せてくれるのか。ことしも「LOVE VORTIS」でチームに注目したい。

  • 平安 大祐

    徳島局・記者

    平安 大祐

    2019年入局
    スポーツ・防災を担当
    サッカーやバスケ観戦が週末の楽しみ

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