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停電で呼吸ができなくなる?災害時の電源確保を、どうする。

  • 2023年01月26日

停電が、命に関わる人がいる。

在宅で医療的ケアを必要としている人が命をつなぐために必要な『医療機器』。
大規模な停電が起きて、これらの医療機器が使えなくなれば、命に関わる深刻な状態を招くことになります。
「電気が必要なら、予備の電源を確保すればいい。」
しかし金銭面の問題などから、思うように整備が進んでいない現状があります。
この現状に向き合う当事者の切実な思いと、支援を求める活動を取材しました。

(取材:NHK徳島・アナウンサー 安藤佳祐)

もし今、大規模な停電が起きたら ― 自分も死を覚悟する。

障害者の自立を支援する団体の代表をつとめている内田由佳(うちだゆか)さん。
内田さんは「筋ジストロフィー」という難病の患者です。

「筋ジストロフィー」とは全身の筋肉が萎縮する病気です。

内田さんは24時間人工呼吸器の助けが欠かせません。
人工呼吸器以外にも、たんやだ液の吸引機など、様々な医療機器に支えられて、生活しています。

内田さんにとって医療機器とは「これがあって生きていけるので、何物にも代えがたい、体の一部」です。

しかし、これらの医療機器は電気で動いているため、ひとたび大規模な停電が起きれば命に関わります。

そうしたリスクが現実となったのが、平成30年(2018年)、北海道で震度7の揺れを観測した地震です。
この地震では、北海道のほぼ全域で大停電が起きました。
この際、医療機器が使えずに患者が救急搬送されるケースが相次いだのです。

徳島も他人事ではありません。
南海トラフ巨大地震では、徳島県内で大規模な停電が想定されています。
停電する世帯の割合を示す「停電率」は、徳島で98パーセント。

内田さんは県の支援を受けて、もしものときのための発電機をレンタルしています。
しかし連続で発電できるのは長くて2時間ほど。
停電が長引くことを考えると、バッテリーなどのさらなる予備電源が欠かせません。

ただ、予備電源は高価なものが多く、用意できていない患者は多いと言います。

安藤佳祐

今停電が起きたら、どうなると思いますか?

私の質問に対する、内田さんの答えは

内田さん

常にそれ(停電)は不安としてあって。そうなった場合、自分も死を覚悟する、死がよぎる状況ではあります。

死への不安を減らすには、どうすれば。

予備電源の確保の助成をする自治体は全国で増えつつありますが、内田さんによると、徳島県内ではまだありません。

内田さんは去年11月、徳島市役所で医療機器の予備電源確保支援への要望を行いました。

内田さん
「徳島県は台風などの災害も多いですし、南海トラフ巨大地震もいつあってもおかしくないという状況にある。在宅で人工呼吸器などを使っている者にとって、停電は死活問題。前向きに検討していただきたいと思います。」

要望を受けた市の担当者は「限られた財源ではありますが、そういったご要望があることを踏まえまして内部で調査研究をさせていただきます」と応じました。

要望の後、徳島市からは、「内田さんが助成を求めたバッテリーなどは、国が定めた給付対象の要件を満たしていない」などとして、給付は難しいという回答がありました。

それでも、停電はいつ起きるか分かりません。
常に「死への不安」を抱えている、内田さんのような人がいる現実があります。

また、いつ何時、病気や事故で自分や家族が医療機器を使わないと生活できない状態にならないとも限りません。

災害時に、命の危機にさらされる人を、少しでも減らすためにはどうすればいいのか。
一連の取材を通じて、一層の議論が求められていると感じました。

内田さん
「息ができない苦しさとか/死への恐怖は常にあって/いま健康な方でもいつそういう状況になるかはわからないので誰にとっても過ごしやすい社会になってほしいと思います」

  • 安藤 佳祐

    徳島局・アナウンサー

    安藤 佳祐

    2014年入局
    3度の飯より筋トレが好き
    子育てに奮闘中

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