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読む72時間  「梅雨明けのコイン洗車場で」

2019年10月11日

名物TVウォッチャー・吉田潮が読み解く!『ドキュメント72時間』

 コイン洗車場に来る目的はひとつ。なのに、訪れる人々から洗車の理由や背景を引き出そうとした無謀な回。「洗う」という行為に心情描写を期待しすぎて、人生訓を無理強いした感も。ただ、結果的にはバラエティ豊かな回に。

 元銀行員の79歳男性は週3回も洗車する。そろそろ免許返納を考えるお年頃だが、「車は友達、車がなくなったら死んだみたいになっちゃう」と笑う。黒の愛車を洗う女性は「私が洗ってあげなくっちゃ」と親心全開。洗車回数と車への愛情度が比例することを図らずも証明。

 スタッフの誘導尋問に乗らなかったのはやはり女性。洗車が嫌だと言わせたいスタッフに、「えー、とは言ったね」とクールな小学生女子。結婚の話をふられて「洗車してるとそういうことも聞かれるんですか?」とカップルの女性。当然だが、女子の塩対応には快哉を叫んだよ。

 高級車を拭く男性はパイロット訓練生。買ったはいいが乗る時間はほとんどなし。猛勉強の合間、息抜き洗車タイム。「洗車中はあれこれと考えなくてもすむ」と話す47歳男性も、「無の境地」を堪能。転職を何度か経験、外資系企業に突然買収されたと話す割に、終始にこやか。

 元水泳選手で整形外科医の女性は、命を救えなかった患者への思いを告白。洗車は「気持ちを立て直す」意味もあるとフォローしてくれる気遣い。患者目線になれる医師とお見受けした。

 洗車に最も説得力ある意義をもたせてくれたのは、腎移植を受けた男性。健康のために洗車するという。「汗かいて一生懸命洗車できるって、意外と幸せなんですよ」。腎臓を提供してくれた弟と、今の健康に感謝しているという。これを引き出したのはスタッフの粘り腰だ。

 わかりやすかったのはコーティング剤の実力に驚く男性。「すごいっすよ、あれ、光沢がやっぱ」。意義なんかどうでもいい。難しい御託を並べるよりも、あの表情がすべてを語る。

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ドキュメント72時間
ドキュメント72時間
人々が行き交う街角に3日間カメラをすえてみる。 同じ時代に、たまたま居あわせた私たち。 みんな、どんな事情を抱え、どこへ行く?
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