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読む72時間  「東京・阿佐ヶ谷 金魚の池のほとりには」

2019年07月25日

名物TVウォッチャー・吉田潮が読み解く!『ドキュメント72時間』

 金魚と言えば縁日の「金魚すくい」。今回は「すくい」ではなく「釣り」。金魚専門の釣堀があるとは知らず。しかもJR阿佐ヶ谷駅から徒歩数分。90年以上続く老舗で、エサと釣り竿つきの1時間600円也。幼児から高齢者まで利用者の年齢層は幅広い。週末は家族連れも目立つ。おっちゃんたちの喫煙率と缶チューハイ飲用率は高いが、こうるさいことは言わない。オープンエアだもの。潔癖すぎるご時世で絶滅寸前の、おおらかな大人と子供の社交場である。

 どうやら金魚釣りは難しいらしい。エサに食いついても反応がごくわずかで、気づきにくいという。そこで登場するのが金魚釣りの師匠だ。この道50年、70歳の師匠はお手製の針外し(焼き鳥だかおでんの串をカスタマイズ)を使用。栃木から通う弟子もいるほどだ。保育士の女性は師匠に愚痴を聞いてもらって、充電するそう。しまいには弟子の子守りまでさせられる師匠。ゆるい徒弟制度がなんとも微笑ましい。

 師匠以外にも常連さんは多い。そして皆さんもれなく太っ腹。せっかく釣った大物も、興味津々の子供たちに惜しみなくあげちゃう。そうか、釣りあげる行為自体が目的なのね。

 ひとりで来ていた小5男子の夢は海洋生物学者。「クラスの友達はゲームばかりで、自然が好きなのは僕だけかもしれない」とぼやく。66歳の男性は「年金だけじゃ暮らしていけない。金魚釣りくらいしか楽しみがない」とぼやく。27歳男性は仕事の休憩中に訪れた。主に女性関係でイヤなことがあって、無心になれる釣りに来た模様。理由はいろいろだが、老若問わず、男性の心を虜にするのが金魚釣りである。

 美容師夫妻がとても印象的だった。美容院を営み、四六時中一緒にいるが、釣堀に来る目的は対話。面と向かわず、隣に並んで座っているほうが本音で話し合えるのだとか。いい距離感で穏やかな時間。心地よい風が吹くのを感じた。

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ドキュメント72時間
ドキュメント72時間
人々が行き交う街角に3日間カメラをすえてみる。 同じ時代に、たまたま居あわせた私たち。 みんな、どんな事情を抱え、どこへ行く?
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