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読む72時間  「密着!"レンタル なんもしない人"」

2019年05月17日

名物TVウォッチャー・吉田潮が読み解く!『ドキュメント72時間』

 定点観測&取材の72時間が今回密着したのは、人。その名も「レンタルなんもしない人」。家族に彼氏に執事と、人材レンタル業は進化を遂げ、今は退職代行業も人気だが、そういう類のビジネスではない。交通費だけ請求し、自分の時間を提供して「なんもしない」。依頼はTwitterで受け、飲み食いとごく簡単なうけこたえ以外はしない条件で自分を貸し出す男性だ。別番組「ノーナレ"幸せホームレス"との10日間」(2018年放送)を思い出した。会いたいと言われたら赴き、相談にものり、依頼者の家に宿泊もする、人懐っこい男性だった。

 今回のなんもしない人は、実に飄々&淡々。本当になんもしない(スマホの充電はちゃっかりするが)。そんな人材に需要があることを立証する稀有な男性だ。妻子持ちと聞いて息を呑んだが、妻にもきっちり取材。「(夫は会社を辞めたが)なじめないことはやらないほうがいい」と理解を示した。奥行きのある夫婦の在り方。

 依頼者は「手術後の犬の散歩に付き添ってほしい」女性、「新聞部の取材を受けてほしい」高校生、「自分が作ったごはんを食べてほしい」女性、「裏声でとなりのトトロを歌うのを聴いてほしい」男性、「韓国に整形手術に行くので荷造りを見守ってほしい」女性など多種多様。

 依頼者は彼に期待しない。期待しないから失望もしない。いてくれるだけでいい。彼の基本がかまわない。沈黙にも気まずさを覚えない。もちろん反応はするが、共感や評価はせず、時には気配を消す。その存在は風か草木の如し。

 「どれだけ受け身でいられるか実験ぎみにやっている」と言うが、程よい距離感が画面から伝わる。彼も「(人と悩みに)バリエーションが見えると、自分も存在してOKという気持ちがより一層強まる。依頼のたびに気持ちがラクになる」と話す。そうか、これが新しい相互扶助の形か。令和の幕開けに相応しい回だった。

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ドキュメント72時間
ドキュメント72時間
人々が行き交う街角に3日間カメラをすえてみる。 同じ時代に、たまたま居あわせた私たち。 みんな、どんな事情を抱え、どこへ行く?
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