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読む72時間  「さらば築地市場 いつもの立ち食いそば屋で」

2018年11月30日

名物TVウォッチャー・吉田潮が読み解く!『ドキュメント72時間』

 移転問題でもめた築地市場。テレビでは専門家や元政治家がしたり顔で討論していたが、抜け落ちていたのは当事者の声。外野だけが喧々囂々。実際に築地で働く人の声を真摯に掬いあげたのが今回。しかも、分刻みで人が入れ替わる立ち食いそば屋で、あえて取材する暴挙!

 大変なのは魚市場だけではない。トラック修理に伝票印刷...長い付き合いや取引のある業者は想像以上に幅広い。築地に関わる人すべてがあたふた&てんやわんやという実態を知る。

 卵焼き屋を継いだ築地育ちの男性。子供の頃は親が築地で働いていることを恥ずかしくて言えなかったという。今では立派な三代目。喧噪がなくなるのがちょっと寂しい様子。運送業と仲卸業で二足のわらじの男性は、先行き不安を口にするも、覚悟が表情に滲み出る。移転に伴い、閉店が決まった男性は「チャンス」ととらえる。東南アジアを回って、日本の美味しい魚を世界に広めたいと話す。商売は決して上向きではなさそうだが、出会う人はみな前向き。

 荒々しく見えるが、情に厚い。そして皆さん揃って「いい顔」である。「若い衆働かせてメシ食ってるんで、映るとバツが悪いんだよね」とかっこむ男性。修業時代を振り返り、「築地にはいろんな類の人がいる。すべての傷を受け入れてくれる場所」と話すマサキさん。まともな人情を教わったという。チョビ毛にタオルはちまきが印象的な男性は36年間マグロの仲卸業に従事。働き始めは毎日文句だったとか。でも「今は感謝。ほめられるより怒られるほうがいいんだよな」とこぼす。商いを覚え、情を学び、人を育む。それが築地の真の顔なのだ。

 加工食品を運ぶ70歳男性は「天下の築地」に出入りする喜びを語る。元会社員で築地に嫁いだ女性は「幸せな人生だったと思いたいから、がっかりしないでやっていきます」と宣言。いい顔は、明るく実直に働く人に宿るものなのね。

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ドキュメント72時間
ドキュメント72時間
人々が行き交う街角に3日間カメラをすえてみる。 同じ時代に、たまたま居あわせた私たち。 みんな、どんな事情を抱え、どこへ行く?
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