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読む72時間 「大阪・西成 24時間夫婦食堂」

2018年06月07日

名物TVウォッチャー・吉田潮が読み解く!『ドキュメント72時間』

 失業中の人も、生活保護受給者も、年金暮らしの人も、愚痴過積載なママ友も、育ち盛りの空腹男子も、不倫カップルも。多彩な人々が24時間出入りする飲食店取材は、視聴者にもスタッフにも実り多き「神回」に。しかも舞台は日本で最も気取らない街、大阪・西成である。

 マスター・功さんとママ・貴子さんの夫婦交代で営む店の扉にはびっしりメニューの張り紙。外から店内を見せないのは、不倫謳歌中の人への配慮。長年の常連はツケ可能。失業手当や生活保護の受給日にまとめてお支払い。いつでも誰かの体温を感じられるよう、20年前から24時間営業に。子供らも気軽に訪れる店だ。

 まずはセーラー服を着た男性を発見。統合失調症と上手に付き合っているという。福福しい顔で微笑みを提供。偏見をもたれがちな西成を案内してくれたのは、派遣と日雇いの仕事をする男性。元漁師で、初めは西成という町にカルチャーショックを受けたという。でも「考えられないようなことをしてくれる町」なのだとか。

 常連客のタクシー運転手は陽気なヨーデルで自己紹介。喪失感を抱えて鯨飲する女性は英会話講師。飲み過ぎた客はマスターがたしなめる。ベタつかずふんわり包みこむ、適温の愛。

 意外とダンディな顔立ちのおっちゃんふたり。生活保護受給者と年金受給者の小競り合い。絶妙な掛け合いには、本音と建て前とプライドがチラ見えするも、険はなく、柔らかい。東京から来た紳士は「だらっとおでん食べたいですやんなぁ」とリラックス。20歳のホストは「家のような、居場所」と表現。そう、この店には心がほどける何かがある。

 昔この店で働いていた男性は8歳の息子連れ。「ここはカオス。生産性のある話は誰もしない。でも人間らしい」と名解説。いずれ息子もバイトさせたいとか。確かに、学校でも塾でも教わらない、濃厚な人生勉強ができそうだね。

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ドキュメント72時間
ドキュメント72時間
人々が行き交う街角に3日間カメラをすえてみる。 同じ時代に、たまたま居あわせた私たち。 みんな、どんな事情を抱え、どこへ行く?
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