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読む72時間 「津軽海峡 年越しフェリー」

2018年02月08日

名物TVウォッチャー・吉田潮が読み解く!『ドキュメント72時間』

 石川さゆりと津軽三味線。津軽海峡を舞台にするなら、定番のBGM。人はこれを「ベタ」と呼ぶ。奇を衒うテレビマンなら絶対避けるであろうベタな演出を堂々とかます72時間。いいと思う。だってベタに惹かれる人も多いから。

 なんと12月30日から3日間、津軽海峡を往復するフェリーで取材&撮影の強行軍。家族旅行を楽しむ人、帰省する人、帰宅する人。うっすら見えてきたのは「家族の距離」だった。

 青森の大学教員は函館へ帰省する際、必死で年賀状の宛名書き中。「(津軽海峡を挟んで)すぐ見える距離なのになかなか帰れない」。近いのに遠い。すごくよくわかる。その距離感と、つい年賀状を後回しにしちゃう師走の煩雑さ。

 札幌の女子大生は卒論発表会の準備中。一人暮らしの寂しさを知っているからこそ、青森の実家の温かみに気づいたという。同居ではわからない家族のありがたみ、祖母が作る茶碗蒸しの愛おしさ。また、2年ぶりに妻と息子と過ごし、大晦日に東京へ戻るという男性。3泊4日では伝えきれない家族への愛がダダ漏れ。こうして、人は強くなって優しくなれるんだね。

 船内では、函館にセカンドハウスを建てた男性と男子学生の交流も。幼少期の娘の思い出を酒の肴にする59歳、笑顔で傾聴、カップ麺をすする20歳。ひょんな出会いが微笑ましい。

 大晦日、船内のテレビでは紅白歌合戦放映中。紅組トリの石川さゆり、まさに「津軽海峡・冬景色」が流れた瞬間、電波障害で映像が途絶える。狙っていたのに。ベタが失笑と諦観に変わった瞬間。72時間とはそういう番組でもある。

 遠くても会える家族、近くても会わない家族、もう会えない家族もいる。トラック運転手の25歳男性は亡き父の形見とともに走る。夫は他界し、子供は独立、今はひとりで旅を楽しむ女性。もう会えないけれど、前を向く。キロメートルでは表せない、家族の距離を感じ取る。

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ドキュメント72時間
ドキュメント72時間
人々が行き交う街角に3日間カメラをすえてみる。 同じ時代に、たまたま居あわせた私たち。 みんな、どんな事情を抱え、どこへ行く?
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