( 高松放送局・奥村 春香 )
2022年11月11日放送
長男で智信(ちしん)というんですけど、お骨であります。
出かけていったりするときとか一緒に行ったりしています。(人形は)子ども同然ですね。
これが本当に最初、「これがそうだよ」って丸をしてくれたんです。
人生バラ色になった感じです。
手足がずいぶんと、足とか手とかよく見えてきて。
「男の子ですよ」っていうのをこのあたりで言われていたので、すごいうれしかったよね。
寝ていると心臓がもうひとつあるような感じがして。「それが胎動だよ」って言われて。
「ああ生きている」っていう感情がすごく湧いてきて。
「元気に育ってね」と思って、おなかをさすったりしていましたね。
何かそこは記憶がちょっと飛んでいるんですよ、私。
泣いたことは覚えていますけど、ショックが大きすぎて。
悔しかったり。悲しかったり。辛かったり…。もう感情の入り乱れで。
なかなかもう(体が)硬直しているので手形もあんまり上手にとれてはいないんですけど。
これを見るたびに息子を感じますよね。「生きていたんだな」って思いますね。
とってもちっちゃいですけど。
仕事を続けるものだと思っていたので、産休に入るまでは頑張ろうって思っていて。
会社の方は理解してくれていて、あまりにひどいときは休ませてくれていたりとかもあったんですが、でも本当はそこまで無理して仕事をせずに、体を休めながらいたら、この子は無事だったのかなとか。私が無理し過ぎた…。だからこうなったんかなとか。
もう、いろんな思いが頭のなかを巡りました。
妻もそういうつらい思いをしているのでね。一緒にいる時間をできるだけ増やそうとは…。 それしか私にはできなかったですけど。
「頑張りなさい」とか「次すぐ(子どもが)できるから大丈夫よ」。
とか言ってくださるんですよね。けど、なんか「次」って言われると代わりみたいな…。
智信の代わりの子みたいに言われている気がして。そうじゃなくて、智信は智信として認めてほしかった。ひとりの人間として。
「私、ずっとこのままかもしれない」。「毎日泣いて暮らす。そんな日が続くんだ」。
と思っていました。本当に先が見えないっていうそういう気持ちでしたね。