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いま旬
「牛の健康をITの力で」

(高松放送局キャスター 橋本 雛 )

画像 2022年11月15日放送

毎日の朝食に欠かせない牛乳。
おいしい牛乳を作るためには乳牛の健康が大切です。
香川県の企業が牛の健康を守るためのシステムを開発しました。
牛乳が私たちの手元に届くまでに欠かせないある業界のIT化を取材しました。

牛の蹄を削る時に使うシステム

牛の健康にとっても大事なのが、平均で600キロを超える体を支える爪「蹄(ひづめ)」です。
人の爪を同じように伸びてくるので、削る必要があります。
「削蹄(さくてい)」と呼ばれ、年に2回から3回程度行われているんです。
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大きな力がかかるため、割れたり、血豆ができたりとケガが多い場所です。
そこから蹄の病気「蹄病(ていびょう)」を引き起こすことも。
この削蹄を専門的に行う職人は、「削蹄師(さくていし)」と呼ばれます。
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この現場で最近使われ始めているのが、これまでの状態を記録した「電子カルテ」のようなものです。
前回の記録が残っているため、経過観察をすることができます。
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香川県の企業がシステムを開発

このシステムを開発したのが香川県のIT企業です。
これまで削蹄の仕事には決まった手順はありませんでした。
そのため、仕事の仕方や牧場への報告もそれぞれです。
独自の記録用紙を作り、書面にして牧場に提出する人もいれば、記録はとらず、結果を口頭だけで報告する人も。
牧場側は、報告を受けても膨大な記録をまとめきれなかったり、口頭での報告だと どの牛のことだったか覚えられなかったり、という状態でした。
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一定の手順を作るために、現場の削蹄師の協力を得て開発を行いました。

また、汚れやすい現場を配慮し、洗えるタイプの端末を採用。
字を書かなくても済む、選んで入力する方式です。
入力された情報は過去の記録と比べられるようにしました。
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システムが集めたデータは牧場でも活用

まんのう町で牧場を営む森末雅美さんです。
システム内のデータを分析すると、牛舎の環境や飼育方法を改善することにつながるといいます。
森末さんに牧場で飼育している牛の削蹄結果のグラフを見せてもらいました。
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2019年から2022年までの牛の蹄病のグラフです。
このうち、水色で記されているのは蹄が割れる「亀裂」という症状です。
2019年は14.06%の牛にこの症状が起きていましたが、少しずつ亀裂を起こす牛の数は減っていき、2022年には4.52%となっています。
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森末さんによると、急な動きが増えると亀裂が入ってしまうことがあるそうです。
そこで、牛を急に走らせたり驚かしたりしないように、牛の扱いを丁寧にすることを心掛けました。
この結果、亀裂が入ってしまう牛が減ったのです。

データを分析することで、牛舎の環境や飼育方法を改善。
牛が過ごしやすい環境を追求することで牛乳の安定生産につなげていきたいということです。
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勘や経験にかわって酪農業界を助けるITの力。
集められたデータが、畜産業界での新たな働き方を生み出しているんだなと感じました。
※なお掲載している情報は放送当時のものです。
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