(ゆう6かがわキャスター 五味哲太)
高松市の史跡高松城跡・玉藻公園で、高松城跡では初めてとなる歴史的な建物の復元が行われています。7月には公開され、みなさんも中に入って見られるようになります。一足先に見どころを聞いてきました。
きょうはよろしくお願いいたします。
よろしくお願いいたします、こちらこそ。
いや〜見えてきましたけど立派ですね。
そうですね、やっと完成しました。
完成したばかりという。
本当に出来たてほやほやです。やっぱりお城の門ですしお城の中でもかなり立派な部類の門に当たるので、見た目の威圧感というか。お城を守る門としての役割も果たしていますので、そこらあたりを感じて頂けたらなと思っています。
この門というのはどういう役割の門なんですか。
高松城の藩主が住まわれている御殿がこの奥にありまして、披雲閣という名前の御殿ですが、その披雲閣の正門にあたる門です。城内に出勤をしてきた武士の方がここを通って藩主の御殿である披雲閣まで向かって、おそらくそこで業務をされていたんだと思います。
正面の門らしく、本当に非常に立派な門ですね。
2階部分は松の木を基本的に多用していて、1階の門の部分はケヤキの木を使っています。桜御門がもともとあったときの古い写真をもとにこういった外観を復元しています。
写真から木材の種類まで分かるんですか。
拡大していくと木目まで全部見えるようなかなり精細な写真が残っていまして、木目の風合いなんかを宮大工さんにも見ていただいたりして材木の種類は決めているところです。
ぜひ中もご案内したいと思います。
今度は下から見上げられるという。
ここは通り抜けになって、公園に来られる方もここを通れるようになります。
いや〜、中に入るとまた木材が立派ですね。
この周りの石垣をごらんになっていただくと、石材ですね。ここに積んでいる石垣の石材が少しピンク色に変色しているところがあるのが見ていただけるかと思います。桜御門が空襲で燃えた時の痕跡というのが今でも残っています。
ここはもう完全に割れて、ぱきっと石が真っ二つにわかれてしまっていたんですけども、わかれたそれぞれの石材は強度があるので、この石材を2つひっつけて1つの石材の形に戻して、そのひっつける時にステンレスのボルトなんかを中に仕込んでですね、石材の強度を確保した上で修理に使うということをしています。
工事の担当者として一番のこの門の見どころはどこですか。
桜御門のメインとなる、まれな仕事なんですけれども瓦の目地漆喰(めじしっくい:瓦の継ぎ目などを漆喰で塗る)。ぱっと見、1回ですぐ終わるようなふうに見えるんですけども、実際は1カ所に対して3回塗り重ねを行っていまして、それをやるのにやはり限られた職人で、時間を使って下塗り、中塗り、上塗りと3回かけてやったというところが一番苦労したところで、3か月かかりました。
パッと見ただけではわからない細部に、技と時間が詰まっているわけですね。
修復の方については、やはり残っているものを極力傷めないで、本当に最小限傷んだ部分だけを補うというのを基本に考えてやっていくんです。過去の資料があったからこそ今の我々がそれを伝えるために新しい技術を加えてやれたんですけども、今回は私たちが全く新しいものを作るっていうことで、将来200年先200年先、後世の人たちにきちっと伝えられるような記録や資料を残して終わりたいなと思っています。
きょう見せていただいて、公開までもう少しですけれども、どんなふうに市民の皆さんには感じてほしいですか。
ここに門が復元できたことで、お城のもともとの使い方はかなり現地で体感できるようになるんじゃないかなと思っていまして、ぜひ玉藻公園に足を運んで頂いて元のお城の景色と使い方を体感できるような活用をしていただけたらと思っています。
これから使われる皆さんの思いが伝わって建物っていうのは愛されていって、国宝とかに指定されていくんだとおもいます。
国宝指定、何年後ぐらいになりそうですかね。
だいぶ先ですけど、これが長く残ればそういった可能性も本当に出てくるかなと思うので、ぜひ長い年月の先には、これそのものが文化財になるようなことがあっても面白いかなと思います。