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ひよこ鑑別技術の最前線!

( 高松放送局 アナウンサー 塩﨑実央 )

画像 2022年6月27日放送

生まれたばかりのひよこを、オスとメスに分ける「鑑別」の作業。
全て人の手で行われているって知っていましたか?
養鶏業を支える鑑別の作業は、人間の五感で担っていますが、いまAI=人工知能を使った、新たなデジタル技術で鑑別を行おうという動きが出てきています!
高松市にあるIT企業の挑戦を取材しました。

分けるスピードは… 1秒に1羽!

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「ぴよぴよぴよ」と元気に鳴くのは、生まれたばかりのひよこたち!
香川県三豊市にある孵(ふ)化場では、多い時で1日6万羽のひよこが生まれています。
ふ化場では、生まれたその日のうちに、将来卵を産むメスを選んで養鶏場に出荷するため、オスとメスを分ける「鑑別」を行っています。
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作業を行うのは、「初生ひな鑑別師」と呼ばれる専門職。
鑑別方法には、肛門を開いて確認する「肛門鑑別」や、羽の特徴を比べる「翼羽鑑別」など、鶏の種類によって鑑別方法を変えています。
しかし、生まれたてのひよこは、オスとメスの違いがほとんどなく、見分けるのが非常に難しいとされています。
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この道50年の、祖一武久さん(そいち・たけひさ)。
指先でひよこの羽根を広げ、見た目と触り心地で違いを判断します。
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選り分ける速さは、およそ1秒間に1羽。
目の前で作業をみていましたが、本当に速いんです…!
どうやって見分けているのかというと…
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みなさんは、違いが分かりますか?
オスの羽根は細長くてほぼ揃っているのに対し、メスは、長い羽根と短い羽根が交互に生えています。
この微妙な差を瞬時に見分け、多い時には、1日3万羽のメスを選び抜いているんです。
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私も見比べてみましたが…さっぱり分からず…技術の高さを実感しました。
祖一さんによると、「大切なのは集中力をどれだけ長いこと保てるか。そして、羽の厚さや薄さを、見るより先に指先で感じとること」だそうです。

ひよこの鑑別をAI=人工知能で!

これまで、人間の五感に頼ってきた鑑別の技を、デジタル技術で担おうという動きが!
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高松市にあるIT企業では、「ひよこの雌雄鑑別AI」の開発に取り組んでいます。
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ひよこに特殊な光を当てて、カメラで読み取ると…
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(写真:ピンクに光るひよこ)
羽の部分がピンク色に。
事前に学習した、膨大なデータをもとに、即座に解析します。
およそ5年の歳月をかけて開発したシステムです。

インド市場で展開を目指す

このデジタル技術の市場展開を目指すのが、インド。
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養鶏の生産量が世界第2位です。
すでにアジア有数のインドの養鶏会社と実証実験を行っています。
現地スタッフが、インドのふ化場で、インド国内で流通している鶏のデータを収集。
およそ1年後には、本格運用することを目指しています。
現地の担当者は。
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「Improve process, improve productivity, improve birds health. This 3 is the key factor for introduce this AI automatization.」
(生産過程・生産量・鳥の健康。この3つを向上させられることが、AI鑑別を導入ための重要な要素だ)
IT会社の社長の中野裕介さん(なかの・ゆうすけ)。
試行錯誤しながらの開発です。
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中野裕介さん 「4、5年開発してきているけれど、売り上げが無い状態をずっと続けてきたので、早く売上作っていかなきゃいけないというのが正直なところです。海外も含めた食糧問題のサポートになるような取り組みにしていきたいですし、日本国内なら、人手不足の解消とか単純作業を行なわなくてもいいような社会になってくれればと思っています。」
取材後記 ひよこのオスメスを分ける鑑別方法は、日本で開発された技術で、鑑別師たちのレベルの高さは世界でも高い評価を受けています。しかし、鑑別師の担い手は、年々減少傾向にあるという現実も。取材した鑑別師の祖一さんは「手の感覚が鈍らないように、長く続けることが大切だ」と話していました。長年の積み重ねが、私たちの食卓を支えています。そんな中で開発された、高松市のIT企業の「ひよこ雌雄鑑別AI」。最先端の技術が養鶏業の未来を支える可能性を感じさせられました。
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