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“観光のキーパーソン”に聞く
県内の景気

2022年2月15日放送 まもなく春の観光シーズンを迎え、4月には3年ぶりの瀬戸内国際芸術祭を控える香川の観光業界。しかし新型コロナの新たな感染者数は過去最多を更新するなど、第6波の出口は見えないままです。地域経済を見つめる“観光のキーパーソン”に現状を聞きました。
(聞き手 楠谷遼)
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話を聞いたのは高松市の旅館「花樹海」の会長で、県観光協会の会長も務めている三矢昌洋さんです。三矢さんには1日の感染確認がふた桁台だった1月中旬にも取材しましたが、そのときは景気の見通しを「曇りのち晴れ」と表現していました。

Q. その後の感染拡大を予想していたか?

感染者は実際の半分ぐらいと予想していました。実際にはその倍ぐらいいきましたね。そして感染者が急速に増えたあとに急速に減少するだろうと予想していました。山に例えると急しゅんな「マッターホルン型」だろうと。でもまだ落ちる気配がありませんね。むしろ「台形状」になっていくのでしょうか。あるいは「富士山型」になっていくのでしょうか。とにかく今長引いているという状況ですね。
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Q. この間、経営する旅館のキャンセルもかなりあったのでは?

「かなり」なんてものじゃないですよ。私の旅館でもキャンセルが相次いだので、2月に入ってから10日ほど連続で休業せざるをえませんでした。きょうも朝からどんどんキャンセルの連絡が入っていますよ。お客さんの方が感染者数の推移をよく知っていますからね。感染者が一気に出るとね、キャンセルも一気に出る。

三矢さんの経営する旅館は、相次ぐ予約のキャンセルで2月にはおよそ10日間の休業を余儀なくされました。みずから理事長を務める宿泊施設の組合で行った会員企業へのアンケート調査を見ても、2月の予約数はコロナ禍前の2019年と比べて3割程度にとどまったといいます。

Q. わずか3割とは業界の衝撃も大きいのでは?

みんな口では言いませんけれど本当に心情穏やかではないと思いますね.先がある程度見通せれば、頑張りもきくんですけど、一体どこまでぬかるみが続くんだというようなことですから。
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Q. 4月からの瀬戸内国際芸術祭への影響をどう考えている?

瀬戸内国際芸術祭を契機に一気に挽回しようという機運が業界にはあったんですけれど見通しが立たないというのが正直なところですね。「あれもあります」「これもあります」というふうな、今までのようなPRは難しくなるのではないでしょうか。「来て下さい」とかそういう表現はなかなか使えないかもしれません。

三矢さんが「ぬかるみ」とまで言う観光の落ち込み。しかし明るい材料もあります。
2月15日に発表された2021年10月から12月のGDP(国内総生産)を見ると、実質の伸び率は年率換算でプラス5点4%と2期ぶりのプラス。特に個人消費の伸びが目立ったことを見ると、観光のニーズはむしろ高まっていると言います。

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Q. 一方、今後感染が落ち着けば回復に向かうという期待感はある?

感染がある程度落ち着いていた去年の12月には、コロナ禍前の9割近くまで宿泊の実績が回復していましたので、十分期待できると思います。お客さんはみんなもう巣ごもりにはあきているわけですから、やっぱり観光地には行きたいですよ。ゆったりと自然の中で過ごしたいというのがありますから、感染が去年のように落ち着けば四国には来ていただけると思いますね。

Q. それに向けて、事業者としてはどのようなことが必要になるか?

ポストコロナでは営業のあり方が変わってくると思います。ホテルや旅館にとって一番宣伝になるのは「感染対策」です。入り口で検温やアルコール消毒をお願いすると、中にはけげんな表情をするお客さんもいますが、それでも厳格に行えばこの宿泊施設はきちんとやっているなということが口コミで伝わっていきます。今後は、お客さんもそういう施設を選んで来てくれるようになるはずです。

編集後記
三矢さんにインタビューしたのは2月14日。香川県に適用されたまん延防止等重点措置が終わると見越して、三矢さんが旅館の営業を再開させた直後でした。しかし重点措置は3週間延長し、観光客でにぎわうはずの館内は閑散としていました。
“ウィズコロナ”と言えども、感染状況と来客数が密接に連動すると話す三矢さん。私たちができることは、基本的な感染対策を徹底することだと改めて突きつけられた取材でした。

※なお掲載している情報は放送当時のものです。
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