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番組タイトル

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いざというとき水害から命を守るには、
自分の住む地域を知っておくことが大切です。
香川県内を流れる各河川に注目して、
気を付けるべきポイントをお伝えします。

本津川

高松市と綾川町を流れる本津川。知ってほしいポイントは「2本の川に挟まれた下流」と「“もの言わぬ”ため池」です。川に潜むリスクから命を守るために鍵となるのは、住民独自の防災活動でした。
(高松放送局 記者 竹脇菜々子)

■”桃太郎”ゆかりの本津川

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「おじいさんは山へしば刈りに、おばあさんは川へ洗濯に」

子どものころ、耳にした人も多い桃太郎の一節。本津川は、おばあさんが洗濯に出かけて桃太郎が入った桃を見つけた、その「川」だという言い伝えもあります。川の中流部に位置する鬼無町には桃太郎伝説が伝わり、「鬼が無い町」という町名の由来になったともいわれています。
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おとぎ話ののどかなイメージとは異なり、実際の本津川は台風などの大雨の際、たびたび浸水被害を引き起こしてきました。平成16年の台風23号では、降り始めからの雨量が300ミリ近くになる記録的な大雨で増水し、流域の1500棟が浸水しました。鬼無町でも川沿いの住宅が土台ごと流される被害が出ました。
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被害を引き起こす理由の1つが、川幅の狭さです。中でも被害がたびたび起きている中流から上流にかけては、川幅を広げて護岸を整備する工事が進められています。すでに川幅が2倍近くに拡張された場所があるものの、引き続き注意が必要です。
イメージ 香川県高松土木事務所
河川砂防課 古川哲男 課長 


「河川改修で対応できる範囲を上回る降水量や川の流量が想定されているので、河川の改修工事が終わった場所でも安心せず早めの避難を心がけてほしい」

■ポイント① 2本の川に挟まれた下流

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まず注目したいのは、高松市の香西地区と弦打地区です。本津川と香東川に両側を挟まれ、氾濫が起きると地区のほとんどが浸水すると想定されています。そのため高松市がどのような避難の呼びかけを行うのかが難しいエリアだとされています。
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例えば弦打地区では、避難所に指定された建物で最大3メートルまで浸水すると想定されています。
建物の2階以上への避難が必要な災害に備え、住民が行政任せにせず独自に「防災マップ」を作りました。マップには本津川と香東川で想定される浸水域を詳しく記し、過去の災害で浸水した場所を斜線で示しています。

さらに過去に冠水した道路や、避難の際に通れないアンダーパスなども紹介。避難経路などに関するチェック項目に答えることで、自分が住む場所のリスクを把握できる「わが家の防災カルテ」も掲載されています。

マップを作った1人、弦打地区の自主防災会で会長を務める植本十七美さんは、マップを手がかりに、みずから命を守る方法を考えてほしいと呼びかけています。
イメージ 弦打校区自主防災連絡会
植本十七美 会長


「まず自分の身をしっかり守ることから始めて、家族や地域の人へと周りに広げていく。そのためにマップが非常に役立つと思っています」

■ポイント② “もの言わぬ”ため池

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2つ目のポイントは、雨が少ない香川県ならではの注意点です。流域に農地が広がる本津川では、川沿いに農業用のため池が数多く作られています。こうしたため池は、集中豪雨や地震が起きれば堤防が決壊するリスクを抱えています。
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川の中流から700メートルほど離れた高松市国分寺町のため池「新居宮池」。すぐ下に住宅が立ち並び、堤防が決壊すれば住宅街に水が流れ込んでしまいます。しかしため池には、河川と異なり水位計や監視カメラが設置されていません。自治体が異変を把握するには、ため池の管理者や地元住民からの通報などに頼らざるを得ず、地域への避難の呼びかけが遅れるおそれもあります。
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異変に気づきにくい、いわば「もの言わぬため池」のリスクを減らすため、4年前に新居宮池近くの住民がため池に注目した防災マップを完成させました。堤防が壊れると浸水が予想される場所、さらに歩くことすら難しくなる危険な場所を詳しく記すなど、地域の災害リスクを紹介しています。今後は川の氾濫の情報を追加するなど住民みずから改良を行い、リスクが一目でわかるマップ作りを続けています。

異変に気づきにくい「ため池」周辺と、2本の川に挟まれて早めの避難が必要な地区。住む人の手で作り上げたマップの情報が、いざという時に命をつなぎます。
五味アナウンサーのひとこと

イメージ 現地で取材すると、歩いてわずか6歩分の川幅のところもあった本津川。場所によっては一見、狭く小さい川に見えても、いたるところに水害のリスクが潜んでいました。住民のみなさんが作り上げた2つの防災マップは、情報満載で見ごたえあるものです。「地域を知る」姿勢がすべての出発点になると改めて感じました。

※なお掲載している情報は放送当時のものです。
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