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相次ぐマンション開発 高松で何が?

2022年3月30日放送 高松に赴任して丸3年の私(内野)が最近気になるのがマンションです。金利が低いうちに買おうか・・・という訳ではなく、高松の街なかのいたるところで新築や建設中のマンションを見かけるからです。低金利になって数年たつ今、なぜ高松で?そこにはさまざまな要因が絡んでいました。
(高松放送局記者 内野匡)

マンション建設 過去10年で最多に

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現状を知るため、国土交通省の住宅着工統計から高松市の分譲マンションの着工戸数を算出しました。2008年のリーマンショック以降はしばらく低迷し、歴史的な低金利が始まった2015年ごろにいったん急増しています。その後は減少傾向でしたが、再び増加に転じて2021年は過去10年間で最多となっていました。
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(C)google earth
中心部に位置する高松市役所から半径1キロの範囲を調べただけでも15階以上のマンションが7棟建設中です。
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こうしたマンションを開発している中には、東京や大阪など県外に拠点を置く開発業者が少なくありません。そのうちの1社を訪ねました。
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この業者が建設した新築マンションは資材や機能性を重視。例えば写真のモデルルームと同じタイプの場合、3LDKタイプの高いもので7000万円台。最上階は1億円を超え、購入する人の多くが資金に余裕がある2人世帯や、今の自宅を売却して住み替えるシニア世帯だといいます。中心部の高松市立中央公園に近い立地の良さもあって、取材した時点で91戸のうち7割以上が成約済みでした。この業者は高松市中心部で立て続けにもう1棟、建設を始めています。
イメージセントラル総合開発 中四国支店不動産部
三上誠 開発課長

「高松は中四国と本州の玄関口で四国でも大きな都市なので、非常にニーズが高い。今後も積極的に高松での事業を考えています」

首都圏などでの過剰供給

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なぜ県外の開発業者が高松に進出するのでしょうか。広島に本社を置く業者は、香川県で3棟目となる高松市中心部のマンションを竣工しました。地方都市を中心に全国各地で開発を進めてきたこの業者は、高松での開発状況には首都圏や近畿圏での開発競争が影響していると話してくれました。
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首都圏の新築マンションの在庫推移を見ると、2014年10月には1000戸を下回っていましたが2019年になると4000戸を超え、最近でも2600戸あまりが売れ残っています。近畿圏でも在庫が年々増加。新たに建てられる土地が減り、開発が難しくなっているといいます。
イメージマリモ マンション事業本部
西日本事業統括部開発1部
福島新二 部長

「事業ができるようなある程度まとまった土地が首都圏や近畿圏は非常に少ない。開発が難しくなっても(開発業者にとっては)事業をしていかないといけないので、地方都市の中でも人口規模のある県庁所在地がターゲットになってきていると考えています」

地価の安さと魅力ある街

一方で首都圏や近畿圏の事情だけでなく、高松の街自体の可能性を評価する声もありました。
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不動産鑑定士の鈴木祐司さんは、周辺や同じ人口規模の都市と比べて高松の地価の安さは際立っているといいます。
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2022年3月に発表された最新の地価を県庁所在地の商業地で比較しました。瀬戸内海沿岸で見ると高松の最高価格は岡山のおよそ3分の1、松山の半分の水準です。
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人口が同じ規模の県庁所在地で見ても高松は下から2番目でした。

不動産鑑定士 鈴木祐司
「県外から開発業者が入ってくる場合、商業地のマンションの適地は購入しやすい価格帯になっていると言えると思います」

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地価が安い中でも、高松の商店街には活気があります。「商店街の中」という立地をアピールして開発を進める業者もいます。
イメージ阪急阪神不動産 マンション事業部
北川洋次さん

「ワンマイル圏内に生活に必要な施設がふだん使いできるところが一番の魅力と感じています」
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商店街の活気を示すデータがあります。全国的に知られる高松市の丸亀町商店街の通行量を見ると、郊外に大型商業施設ができた2000年以降は1日の通行量が減少し、2005年にはおよそ2万7000人に落ち込みました。しかしその後は数年がかりで再開発に取り組み2013年には通行量が以前の1点3倍にまで回復しました。

阪急阪神不動産マンション事業部 北川洋次さん
「丸亀町の商店街は再開発で非常にきれいになって開放感もある。スーパーや飲食店、ドラッグストアなどさまざまな店舗がアーケードの中にあり、雨にぬれずに利用できるのは他の商店街と比べてもなかなかない」


【取材後記】
首都圏や近畿圏の開発競争、安い地価、そして街の魅力。このほかにも中心部でまとまった用地が売りに出されたタイミングと重なったことを挙げる開発業者もいました。複雑な要因が重なった結果が今の活況につながったようです。ただ人口減少の中で、この先も需要が続くかは不透明で、ある専門家は「しばらくすると沈静化するのでは」と話していました。ではマンションを買い時はいつなのか・・・?私がそれを考えるのはもう少し先かもしれません。

高松放送局 内野匡
2019年入局
経済や高松市政などを担当。戦争の教訓を伝える語りべや原発事故の避難者の取材にも力を入れる。
※なお掲載している情報は放送当時のものです。
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