「行政からの指導はなかったので、何をしたらいいのか分からなかった。自分たちでなんとかしなければならないと感じた。南海トラフ地震もいつ起きてもおかしくない状況で、スタッフが正しい防災の知識を身につけて子ども達を守ることが必要だと思った」
「警報が出た場合には、習い事先には送迎することはないという、決めごとを決めておかないといけない」
「災害は1つではない。津波であったり、河川氾濫であったり、高潮もあるが、それによって、安全なルートが変わってくる。ハザードが違うと、送迎ルートが同じでも、状況を判断する場所が変わってくるはず」
「子どもの数が増えるごとに作業が大変にはなってくるが、一人一人の安全を、命を、守っていきたいという思いがあるので、こういう防災活動を通して本当の意味で安心安全な学童保育を作っていきたいと思う」
「施設だけの努力では防災対策はなかなか浸透しない。行政側も防災マニュアルのひな型を見せるだけではなく、もう少し踏み込んで、職員の防災意識がどのレベルにあるかのチェックや指導をして全体の底上げをしていかないといけない」
取材の中で岩原客員教授は次のように話していました。「防災と言うが、実際には被災してから対策することが多い。建築基準法の大幅な改定も阪神・淡路大震災がきっかけ。気が付くことは大切だが、これは犠牲を伴う気付き。犠牲がなくても気が付いてほしい。犠牲が出る前に、日常の延長でできる対策でいいので防災に取り組んでほしい」と。犠牲が出る前に気付く、というのは、当たり前のようでいて、日常生活の中で私たちがいつの間にか忘れていることなのではないかと思いました。
今回の取材を通して、子どもたちが当たり前に過ごす場所の防災が見逃されている実態に気がつかされるとともに、私たちも、いざという時に自分の命と、大切な人の命を守れるように、身の回りでできることから防災に取り組まなくてはならないと、改めて考えさせられました。